函館市元町の日和坂を上がると見えてくる、2014年にオープンしたロシア・東欧雑貨直輸入店チャイカ。雑貨では「ロシアといえば」で有名なマトリョーシカや、ロシアの工房と直接やりとりをして仕入れるこだわりの詰まった雑貨、食品ではロシアの紅茶やお菓子、チャイカオリジナルスイーツなど、かわいらしい商品が数多く並んでいます。
代表のパドスーシヌィー夏実さんがロシアに触れるきっかけとなったのは大学時代、ゼミナールの教授がロシア文学に精通していたことからです。大学卒業後、社会人として働き、ロシアへの興味が絶えることなく、後に語学留学のためロシアのサンクトペテルブルクへ渡ります。帰国後はフリーの翻訳家、通訳として活躍。12年にロシアの伝統的な陶器インペリアルポーセレンをネット通販で販売開始。ロシア好きの間で口コミが広まり、全国から注文を受けます。そうして、元町に店舗をオープンします。
チャイカオリジナル「函館サモワール フルーツハニー」は、蜂蜜で果物を煮詰めた甘酸っぱいスプレッドで、1年半以上の開発期間を経て、20年12月に発売を開始しました。19年にロシアに足を運んだ際、以前までは見かけなかったというフルーツハニーがスーパーに数多く並んでおり、「これは日本でも味わってもらいたい」と思い開発を始めました。
世界各国からさまざまな種類の蜂蜜を取り寄せますが、通常の黄金色をした蜂蜜では、果物が持つ鮮やかな色が出にくかったと話します。そうして見つけた、キルギス共和国産の白い蜂蜜とハスカップやリンゴなど北海道産のフルーツを使用することで、色鮮やかなフルーツハニーが完成しました。店舗の2階で全て手作りで作っており、アイスやヨーグルト、パンに塗るなど楽しみ方はさまざまです。
「日本とロシアの友好関係の架け橋の一助になれれば」と話す夏実さん。これまではロシアの雑貨や食品などを提供してきましたが、函館でロシア民謡を楽しめる音楽コンサートを開催したいと意気込みます。店舗では、ロシアの代表的な弦楽器バラライカの音が鳴り響き、函館にいるのに函館ではないような。異国情緒豊かな函館の中でも、ここまでロシアを感じられる店舗は、チャイカだけではないでしょうか。
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道南でつくられるこだわりの食品を集めた通販サイト「道南地元市場」を運営するロカラ(函館市鍛治1、中川真吾社長)のスタッフが各地のつくり手たちのもとに足を運び、生産者の思いをまとめます。(毎月第3日曜日掲載)