抗がん剤治療を上手く乗り越えるには
抗がん剤治療による副作用は良く知られている吐き気や脱毛だけではなく、手足のしびれ、皮膚障害など、以前はあまり注目されていなかった症状を体験する患者さんが増えてきました。昨年ノーベル賞の受賞で話題となった免疫チェックポイント阻害薬の登場により、私たちが今まで経験してこなかった副作用があることも、症状が多様化した要因です。
副作用の感じ方は患者さんによりさまざまで、例えば手足のしびれを「たいした事はない」と捉える方もいれば「ひどかった」と捉える方もいます。感じ方も「手に一枚膜が張ったような感じ」「手が握りにくい」など、いわゆる正座した後の足のしびれのような感じ方ばかりではないため、医療者にはその人にしかわからない体験を理解しケアしていく事が必要です。
抗がん剤治療中の患者さんから副作用に伴う体験(日常生活への影響など)をお伺いした際、しびれなど、言葉で表現しにくい症状を上手く患者さんから引き出したい時、ほかの方の体験談をご紹介させて頂く事もあります。「ほかの患者さんは治療をどう乗り越えているのか」と気にされる方は多く、同じ病を持つ患者さんの頑張りが自分自身の励みに繋がる方も多いです。また、さまざまな職業や生活背景をお持ちの患者さんの人生に触れ、悩みを聞いたり、共に落ち込んだり、励まし励まされる中で私たちが教わる事も沢山あります。患者さんから頂いた声が新たなケアに繋がる事もあり、そのような時、看護師という職業の尊さを実感します。
体験を伝えて下さった方の中には「気持ちが楽になる、心が軽くなる、安心した」とお話しになる方もおります。伝える事で全てを分かり合う事は難しいのかもしれませんが「分かち合う」誰かがいるという安心感は抗がん剤治療を上手く乗り越える鍵となるのかもしれません。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
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