訪問看護の役割と今後の展望
現在、日本の高齢者人口は急速に増加しています。65歳以上の高齢者は2042年にピークを迎え、2055年には全人口の25%を超えると予測されています。高齢化に伴い、慢性疾患を抱えながら自宅で生活する高齢者の増加が見込まれます。この状況下において、高齢者がどのように自宅で安心して暮らすかが重要な課題となります。医療のあり方も大きく変化しており、今後は従来の「治す医療」から生活全体を支える「治し、支える医療」へとシフトする必要があります。国が進める「病院から在宅へ」の方針の中で、地域包括ケアの実現と在宅医療の推進が急務となっています。その中で訪問看護は医療と介護をつなぐ重要な役割を果たしています。
訪問看護は、単に医療行為を提供するだけではなく、利用者様がより良い生活を送るために包括的な支援を行います。具体的には健康状態の観察や病状悪化の防止、療養生活の相談やアドバイス、リハビリテーション、点滴・注射などの医療処置、痛みの緩和ケア、服薬管理、緊急時対応など、多岐にわたるサービスを提供しています。また、主治医やケアマネジャーなどと連携し、利用者様とご家族様のニーズに応じた支援を行います。さらに、地域の医療・介護の関係者と協力し、より安心して自宅で生活できる環境を整えます。
「やっぱり自宅が一番いいね」という利用者様の言葉は、私たちにとって何よりの励みになります。この言葉には自宅での生活を望む高齢者の深い思いが込められています。自宅には慣れ親しんだ環境や思い出があり、高齢者にとっては心の安らぎの場です。高齢者が自分らしく安心して暮らせるためには、訪問看護だけでなく、地域のつながりや支援体制を強化することが重要です。地域コミュニティ全体で高齢者を支える体制が築かれることが求められます。私たちは、これからも利用者様とご家族様に寄り添い、安心できる生活を送れるようお手伝いをしていきたいと考えています。
(ハコラク 2025年1月号掲載)