心不全という病気と付き合っていくために
みなさん「心不全」という病気をご存じですか?一般向けには「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義されています。心臓は全身に血液を送るポンプの役割があり、心不全になると心臓のポンプの機能が低下して、息切れや体のむくみ、だるさなどの症状が出てきます。「最近、階段や坂道を上ると息が切れる」「夜に苦しくて目が覚める」「靴を履けなくなった」など、日常生活に不便さを感じて症状に気付く方もいます。
心不全の悪化の原因には、心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症などの心臓病や高血圧、糖尿病、腎不全などの併存している病気が関連しています。また、生活習慣では塩分・水分の取りすぎ、薬の飲み忘れや中断、過労やストレス、風邪なども悪化の要因です。心不全は完全に治ることはなく、悪化と改善を繰り返しながら徐々に進行していきます。治らない病気ではありますが、専門医による適切な治療を受け、療養行動をとりながら心不全の悪化を予防し生活を送ることが可能です。そのためには、病気の知識と適切な療養行動を知り、これまでの生活習慣を見直して病気を管理していくことが大切です。
しかし、これまでの食習慣や生活様式を変えることは容易ではなく、ご本人にとって大きな負担となります。また、高齢の方は認知機能や身体機能の低下によって、病気を管理することが難しくなり再発を繰り返す場合があります。病気の管理は継続が大切です。病気を患う方の中には仕事や家事、育児や介護をしながら生活する方も多くおり、病気と付き合いながら自分らしい生活を送るために、ご家族やご友人、医療・介護者、地域の方の支えも必要です。再発を繰り返すうちに「また悪くなってしまった」と落ち込み、自分を責めてしまう方もいますが、悪化の原因はさまざまです。心不全という病気について悩みや不安がある方は、まずはお近くの病院の専門医や専門家にお気軽にご相談ください。
(ハコラク 2025年4月号掲載)