リハビリテーション病棟における 歯科衛生士の役割について
皆さんは歯科衛生士という職種にどのような印象をお持ちでしょうか?一般的には歯科医院で、歯科医師と共に治療を行っている印象をお持ちの方が多いかと思います。しかし、口腔環境が全身状態やさまざまな全身疾患に関与しているという研究結果から、近年の高齢化社会においては、健康寿命を維持させるためにも、口腔内の環境を整えることが非常に重要であるとの認識が広まってきました。それに伴い歯科のない総合病院や高齢者施設でも、口腔ケアや口腔管理のために歯科衛生士が配属される事が増えています。
口腔内汚染があると誤嚥性肺炎の危険性が高まることは広く知られていると思いますが、歯周病菌は脳梗塞や心筋梗塞など血管内での血液凝固に関与するため、歯周病を改善することが疾患の予防にも繫がるといえます。
そのため病棟内では、体のまひなどの影響で歯磨きが不十分な方や全介助が必要な方へ、歯科衛生士による口腔清掃を行っております。また、入院患者様の口腔内を診査し、口腔内に問題点が無いか、義歯の適合や義歯を使用していない方に関しては義歯の作製が必要か否かなども判断し、口腔内の環境を改善するための指導や、歯科と連携し治療を依頼する場合もあります。
転倒のリスクや認知症のリスクを減らすためには、奥歯でしっかり咬合することが大切ですので、リハビリを行う上でも口腔環境は決して無関係ではありません。病気や怪我などで入院することは、ある日突然、誰にでも起こり得ることです。「いつか歯科に行こう」と思いながらも、「急な入院をせざるを得なくなった」という話をよく耳にします。
歯科治療は通院期間も比較的長く、治療もある程度の体力が必要なため、元気な時に「悪い歯を治療または抜歯」し、「適合の良い入れ歯を作製」し、ご飯をしっかり食べられる状態・清掃しやすい口腔内を作っておくことが大切なのではないかと感じます。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
西堀病院
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