「眠れない」を放置せずに
不眠は「眠れない」という夜間の症状だけではなく、日中の眠気や、だるさ、集中困難など、心と体にさまざまな影響を与えます。ストレス社会とも言われる現代社会において不眠の訴えを持つ人は年々増加しており、日本の成人のうち5人に1人が何らかの不眠の症状を感じているという研究報告もあります。
不眠の症状に関しては、主に4つのタイプがあります。寝床に入って寝つくまでに30分~1時間以上かかる「入眠困難」、睡眠中に何度も目が覚め1度起きた後、再度眠れない「中途覚醒」、起床予定時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れないといった高齢者に多くみられる「早朝覚醒」、睡眠時間の割りに熟眠感が得られない「熟眠障害」です。
不眠を認めた場合、最初に行うことは生活習慣の見直しです。気を付ける事は4つあります。1つ目は毎朝同じ時刻に起きることです。寝る時間を決めてこだわってしまう方がいますが、これだと「眠らないと」と思い、かえって不安になり寝つきが悪くなります。毎朝決まった時間に起きることで、一定の睡眠と覚醒のリズムがついてきます。2つ目は朝起きたらカーテンを開け太陽の光を浴びることです。体内時計のスイッチをオンにすることでその14~16時間後に眠気が出てくると言われています。3つ目は寝床は寝るためだけに使いましょう。眠ろうとして1~2時間以上寝床にいる方がいますが、ますます眠れず睡眠に対する不安を強くさせます。眠くなければ別の部屋などで時間を気にせずリラックスし、眠くなったら寝床に入りましょう。最後に寝る前にはカフェインやアルコール、胃にもたれる食事の摂取は控えましょう。特に、睡眠薬代わりに寝酒と称してアルコールを摂取すると、眠りが浅い状態になります。 睡眠に不安を感じたり、十分に寝ても昼間の眠気が強いことがありましたら、専門家に相談することも大切です。
(ハコラク 2022年11月号掲載)
略歴
平成15年、北海道大学医学部卒業後、同大学病院精神科で初期研修し、八雲総合病院、倶知安厚生病院、国立花巻病院、函館渡辺病院で精神科医師として勤務。令和3年、桜町メンタルクリニック開院。日本精神神経学会精神科専門医。
桜町メンタルクリニック
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