子供の長引く腹痛について
子供の腹痛が長引くと、「原因は何?」「どう対処すればいいの?」と親としては心配になりますよね。腹痛を訴えてから、少し時間が経過してケロッとしているようなら機能性腹痛かもしれません。機能性腹痛は、具体的な病気や薬などと関連がなく6カ月以上続く腹部の痛みのことです。仮病ではなく本人は本当に痛みを感じています。機能性腹痛は、痛みが常にあるわけではなく、現れたり消えたりし、痛くて生活に支障をきたすケースもあります。
特に子供の場合、新しい環境への適応や兄弟姉妹の誕生など家族内の変化がストレスになっている場合もあります。機能性腹痛は以下のような方法で改善できる場合があります。
①子供は学校や習い事、人間関係など、さまざまな場面でプレッシャーや不安を感じています。このようなストレスが機能性腹痛の原因になっているかもしれません。子供をよく観察して腹痛の誘因になるできごとを探ってみることが必要でしょう。②痛みを和らげるために、子供の注意を痛みから逸らすことも有効です。無理に腹痛について話すのではなく、関心を引く話題で楽しませたり、遊びや絵本・ゲームなどで楽しい時間を過ごすと症状が減ってきやすくなるでしょう。③子供と話し合いながら、腹痛が少しでも和らぐように深呼吸や心地よい音楽を聴かせる、お腹を温めマッサージするなど、心地よく過ごすのが効果的です。④子供に「お腹痛い?」などと頻繁に聞くと、腹痛を意識しすぎることがあり、症状を感じやすくなってしまうかもしれません。そのため、腹痛について過度に聞かない事も大切です。
また、発熱・食欲不振・体重減少・夜中に目が覚めるほどの強い痛み・頻度の多い嘔吐・下痢・皮膚や白目の黄染・食べ物や水分がうまく飲み込めないなどの症状があるようなら、機能性腹痛ではなく身体的な病気が隠れているかもしれません。前記のような場合はすぐにかかりつけ医やお近くの医療機関を受診しましょう。
(ハコラク 2025年4月号掲載)
略歴
平成14年、岩手医科大学医学部卒業、同年4月、北海道大学医学部第三内科入局。市立札幌病院消化器科、NTT東日本札幌病院消化器科、函館中央病院内科勤務などを経て、平成18年11月より佐藤内科小児科医院勤務。平成28年7月より同院副院長。令和4年9月佐藤内科小児科医院から、みどりの森さとう内科・こどもクリニックへ名称を変更し継承開業、院長に就任。