喉や食道の“つまり感”について
喉や胸からみぞおちのあたりに〝つまり感〟、〝吐き気のようなむかつき〟などを感じたことはありませんか?気のせいなのか、病院に行くべきか、病院に行くとすると耳鼻咽喉科なのか消化器内科なのか、悩ましい症状です。今回はそんな〝つまり感〟のお話をさせていただきます。
〝つまり感〟で最も多いのは、咽喉頭逆流症・咽喉頭異常感症という病気です。多くの場合、胃酸がたくさん出ることや胃酸の逆流が原因になっています。ピロリ菌のいない健康な胃で起こりやすく、喉の違和感のほかに胸焼け、ゲップ、胃もたれや胃痛などの症状を伴うことが多いのが特徴です。治療は胃酸を抑える薬と漢方を用います。気付かないうちにストレスや悩みなどが貯まって起こることも多いため、体のサインと考えて、無理せず肩の力を抜くことも大切です。
頻度は高くありませんが、咽喉頭がん、食道がんなどの悪性腫瘍の場合もあります。喫煙や飲酒、お酒を飲んで顔が赤くなる(フラッシャー)がリスク因子です。当てはまる方は、早めに消化器内科を受診しましょう。胃カメラを受ける時にも喉や食道も良くみてもらってください。
そのほかの病気として、最近は〝好酸球性食道炎〟という病気も比較的多く診断されるようになりました。ピロリ菌のいない健康な胃の方に多く、やはり胃酸が出過ぎることや逆流することが原因になります。進行すると食べ物が食道に詰まってしまい、水を飲んでも流し込むことができなくなる難病ですが、日本で発見されるのは初期の段階がほとんどで、胃酸を抑える薬を飲むことでほとんどの場合改善します。そのほか、稀な疾患として、食道アカラシア、びまん性食道痙攣、甲状腺腫大などで起こることもあります。
このようにさまざまな疾患が考えられるため、〝つまり感〟を感じた際には、できるだけ早く消化器内科を受診して経鼻内視鏡で喉、食道もしっかり診てもらいましょう。また、消化器内科で異常がない場合には耳鼻咽喉科でもみていただくことをおすすめします。
略歴
平成7年、山形大学医学部卒業、平成11年、同大大学院医学研究科卒業。山形県立中央病院、KKR札幌医療センター、北海道大学病院消化器内科、同大大学院がん予防内科、国立病院機構函館病院、淳風会健康管理センター倉敷勤務を経て、令和5年10月、まべ五稜郭消化器・内視鏡クリニックを開業。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医。(ハコラク 2025年3月号掲載)