手術と薬

　手術の際には多くの種類の薬剤が使用されます。反対に、手術に向けてお休みをしたほうが良い薬もあります。その理由は薬の相互作用であったり、血液の流れに対する影響であったりとさまざまなのですが、それは病院から処方された薬に限った話ではなく、ドラッグストアなどで購入した市販薬や健康食品、サプリメントにも同じことが言えます。また、個人の体質やアレルギー情報について把握しておくこともとても大切です。私達病院薬剤師はこれらの事項を事前に確認し、手術に伴う出血もしくは血栓の危険性の低減、薬の相互作用や副作用の予防に向けて日々活動しています。
　手術が決まると、入院や検査、療養上の注意点などとあわせて、薬の管理についても病院から説明を受けることになります。いろいろと忙しくなったり、お使いの薬が複数あったりする中で、管理に不安を感じる時、役立てていただきたいのが薬剤師の存在です。病院、調剤薬局、ドラッグストアと、それぞれ普段は異なる場所で働く薬剤師たちも、患者さんを支えるため連絡を取り合い、共に考え行動しています。例えば手術が決まった患者さんへ、事前にお休みする薬について病院から説明を行う際、ご希望に応じてかかりつけの調剤薬局へ相談し、薬をわかりやすく分けていただくようお願いすることが最近増えてきました。今飲んでいる薬の内容を至急知りたい場合に情報提供をいただくことも多いです。
　外来通院から入院治療になり、退院するまでの間に薬の内容も変化していく中で、どの時点においても関わる医療スタッフがそれを把握し、支援できる状態にしておくというのはとても重要なことと考えています。この連携のパスポートの１つとして、皆さんにはぜひおくすり手帳をご活用いただき、いつでも安全で安心な医療が受けられるよう、一緒に取り組んでいただけることを願っています。医療機関へ足を運ぶ際には、ぜひおくすり手帳をお持ちください。
（ハコラク　２０２２年１０月号掲載）

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