物がゆがんで見えるのは加齢黄斑変性かも
物がゆがんで見えたりしていませんか?眼底の中心で、物を見るのに大切な黄斑といわれる部分に病変があると、物がゆがんで見えたり、車の運転に支障を来すほど視力が低下したりします。黄斑に病変を来す疾患はたくさんありますが、黄斑に新生血管という病的な血管が形成される疾患を「加齢黄斑変性」と言います。「加齢黄斑変性」は新生血管からの出血や滲出物が黄斑にダメージを与える「滲出型加齢黄斑変性」と、黄斑の神経や血管が変性する「萎縮型加齢黄斑変性」の2種類に分けられ、50歳以上の約1%の方にみられるとの報告があり、最近、特に高齢者で増加しています。滲出型には薬剤を眼内(硝子体内)に繰り返し注射する、抗血管内皮増殖因子療法(抗VEGF療法)が行われます。抗VEGF療法の治療効果は高いですが、治療薬が高額な上に何度も注射を必要とするため治療費が高くなり、また、治療しても後遺症が残ることが多いので、早期発見・早期治療が重要です。萎縮型には今のところ治療法はありませんので、予防が重要になります。
「加齢黄斑変性」の発症リスクには、喫煙、高脂肪食、メタボリックシンドローム、遺伝子の変化などがあります。遺伝子の変化以外は、リスク因子を回避することが予防になります。特に喫煙は、世界中のどの疫学調査においても最大のリスクです。過去に喫煙していたとしても、その後に禁煙を続ければリスクが下がることが知られていますので、ぜひ禁煙していただくようおすすめします。
黄斑を調べる検査に、光干渉断層計検査(OCT検査)があります。測定には少しまぶしさを感じる検査ですが痛みはなく、片眼の測定に約10秒程度で終わる簡単な検査です。
片目を隠して反対の目だけで物を見たときに「物がゆがんで見える」などの症状が気になる方は、一度、眼科医にご相談ください。
(ハコラク 2022年12月号掲載)
略歴
平成15年、山形大学医学部卒業。同年同大医学部眼科学教室へ入局。山形県立中央病院、公立置賜総合病院、函館市内の眼科などの勤務を経て、令和元年10月、はこだて港町眼科を開院。日本眼科学会眼科専門医。
はこだて港町眼科
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