体外受精の保険適用
いよいよ今年4月から体外受精、不妊治療が保険適用になりました。今までは体外受精というとすべて自費料金で、生殖補助医療補助金として30万円が支給されていましたが、一度は50万円を全額自費で支払い、後で戻ってくる仕組みでした。
1年以上タイミング療法をしても妊娠できない、何度人工授精をしても成果が出ない、卵管の疎通性が悪い、ご主人の精子の数が少ないなどのカップルにとっては、いつまで病院に通ったらいいのかはっきりとした目標もなく日が過ぎています。妊娠率は加齢とともに下降します。一度子供をつくろうとご夫婦で話し合ったら、1年以内に妊娠できるよう最善の努力をすべきです。事実、子供ができないご夫婦は3組に1組あります。まずは6カ月夫婦生活をして妊娠できなければ、不妊症の検査をしてみることが大切です。異常がなければさらに半年はタイミングを図ってみることです。その後に婦人科を受診し、積極的な治療をすべきです。本当にタイミングは合っているのか、排卵を確実にするための投薬、注射なども必要です。
それでも妊娠できなければ卵管への卵子の取り込みが阻害されている場合が多くあります。卵子と精子は卵管の中で出合い受精します。それを解決する方法が体外受精です。4月からは保険適用になりましたので、一度ご夫婦で説明、検査を受けられてできるだけ早い機会に次へのステップアップを考えてはいかがでしょうか。保険適用になると高額医療手続きをしていただければ、1カ月の医療費は8万円前後ですべてが賄えます。保険適用の利点を最大限に活用され妊娠を目指すことが大切です。現在出産される方の13人に1人は体外受精での妊娠の方です。そのうち80%の方は治療を始めて1年以内に妊娠されています。時間は待ってくれません。できるだけ早い決断と実行が何より肝心です。
(ハコラク 2022年9月号掲載)
略歴
昭和47年、岡山大学医学部卒業、同年ECFMG認定(認定番号1747732)、昭和50年より北大医学部癌研病理部門研究生を経て、昭和55年に医学博士学位を取得。国立高知医科大学産婦人科講師、函館五稜郭病院産婦人科科長などを経て、昭和62年産科婦人科秋山記念病院開設。平成8年には森町レディスクリニックを開設した。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
秋山記念病院
函館市石川町41-9
☎0138-46-6660(代)
http://akiyama.hakodate.jp/
■診療科目/産科、婦人科、乳腺外科
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水 9:00~12:00
土 9:00~14:00
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