コーヒーと緑内障
日本はアジアでトップクラスのコーヒー消費国であり、世界の市場を見ると、コーヒーは石油に次ぐ巨大な国際的貿易商品として、世界中で愛されています。私自身コーヒーがとても好きで、コーヒーに関する論文も世界中で膨大な量が投稿されています。
眼科的にはコーヒーを飲むことは一般的に良いと言われ、日本人を対象とした論文を見ると、男性では、コーヒーを全く飲まない群と比較して、1日1杯以上飲む群で眼圧が有意に低いという結果が出ています。
味もさることながら、眼圧も下がる、カフェインの効果で仕事の能率も上がる。なんて素晴らしい飲み物なんだ!と感心しながら毎朝コーヒーを飲んでいるのですが、2022年5月7日眼科で有名な雑誌に衝撃的な論文が投稿されました。ヨーロッパの論文ではありますが、習慣的なコーヒー摂取と原発性開放隅角緑内障(POAG)リスクの因果関係を無作為試験で検討され、コーヒーの消費量の増加がPOAGのリスクを上げるという遺伝的証拠が出たというものでした。となると、ほかの論文も気になるのが心情です。さまざまな論文を読み漁ると、Blue Mountains Eye Studyでは、健康な参加者の習慣的なカフェイン摂取と眼圧との間に関連性は見られず、また、UK Biobankの研究では、より多いカフェイン消費が、眼圧および緑内障罹患率と関連していることが判明しましたが、人口レベルではカフェイン消費と緑内障との関連は見つかりませんでした。
このように、目にとってコーヒーが良いか悪いかは絶対的な判断がなく、まだまだわからないことが多いようなので、「そういったことがあるのだなあ」ぐらいに考えをとどめておくのが良いでしょう。さまざまな食品や行動によって眼圧は変化するので、もし気になる方は,通院されている、もしくはかかりたい眼科医に聞いてみると良いと思います。
(ハコラク 2022年9月号掲載)
略歴
平成28年、札幌医科大学卒業後、札幌東徳洲会病院、自治医科大学附属さいたま医療センター、さいたま赤十字病院、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院で勤務。令和4年4月より市立函館病院に着任。
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