不整脈に対するカテーテルアブレーション
不整脈のうち心房細動と呼ばれるものは最も一般的であり、心房と呼ばれる心臓の部屋が小刻みに震え十分に機能しなくなる不整脈です。動悸(ドキドキ)がする、めまいや脱力感、胸の不快感や呼吸がしづらいなどの症状がありますが、自覚症状がない方もいらっしゃいます。加齢に伴い起こりやすくなると言われるものの、働き盛りの若年の方にも起こりうる不整脈です。心房細動自体は死に直結する疾患ではないものの、脳卒中、心筋梗塞、心不全などの重篤な疾病につながることがあり注意が必要です。発症してからは、正常な脈である洞調律と心房細動の間を行き来し、徐々に発作の頻度や持続時間が悪化し慢性化に向かいます。
治療としては、①高血圧、糖尿病、心疾患、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病などの併存症の治療②飲酒、喫煙、メタボリックシンドロームの改善③心房細動自体を抑える薬や脳梗塞の原因となる血栓を予防するために血液をサラサラにする薬の投与を行います。
ただ、それでも心房細動を十分に抑制できない場合は、「カテーテルアブレーション」と呼ばれる治療により根治を目指すことが可能です。
心房細動に対するアブレーションは日本では2000年頃より導入が進み、2013年には日本循環器学会のガイドラインで「年間50例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合」はクラスI(治療が有用、有効であることが証明されている)で推奨されるようになりました。現在は国内600施設で約10万件のカテーテルアブレーションが施行され、そのうち8割が心房細動に対して行われています。また、心房細動でなくともアブレーションの適応となる不整脈があり、それらについても的確に診断、治療を行えば症状を抑えるだけではなく根治の可能性があります。適切な検査を受け、早期に治療することで充実した生活を送れます。
(ハコラク 2022年7月号掲載)
略歴
成22年、北海道大学医学部卒業後、苫小牧市立総合病院勤務を経て、平成25年から市立函館病院に勤務。日本循環器学会循環器専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
https://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
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