肥満症について
肥満症とは、肥満(BMI≧25㎏/m2)に起因ないし関連し、減量を要する健康障害を有するもの、ウエスト周囲長で内臓脂肪蓄積を疑われ、腹部CT検査によって確定診断された内臓脂肪型肥満のいずれかの条件を満たす場合に肥満症と診断されます。男性は40歳台でピークとなる一方、女性では加齢で増加することが知られております。肥満には、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあります。皮下脂肪型肥満は、皮下組織に脂肪が蓄積するタイプの肥満で、女性に比較的多くお尻や太ももなど下半身の肉づきがよくなります。内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸間膜などに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、男性に多く下半身よりもウエストまわりが大きくなります。内臓脂肪の蓄積は、皮下脂肪に比べ、糖尿病を含む生活習慣病のリスクが高まり、特に日本人では肥満が軽度でも内臓脂肪の蓄積が多く、健康障害をきたしやすいと報告されています。
肥満症は2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患などとの関連以外に、近年ではさまざまな悪性腫瘍との関連も指摘されています。また、肥満症の患者はCOVID-19にかかりやすく、感染した場合、入院や人工呼吸器装着リスク、そして死亡率が非肥満者に比べて増加すると報告されております。以上から、肥満症は1つの疾患として治療することが重要です。
肥満症の治療はまず食事療法といった生活習慣の改善が原則となります。長期に渡る体重管理にうまくいかず、リバウンドした場合や、高度肥満症に対しては、減量・代謝改善手術治療を検討する場合があります。長期間の自粛、運動不足、在宅ワークの増加などで体重管理が難しくなってきているかとは思いますが、体重管理に悩まれている時は、遠慮せずにかかりつけの医療機関などに相談してみてください。
(ハコラク 2022年6月号掲載)
略歴
平成22年、金沢医科大学卒業後、市立札幌病院、釧路赤十字病院、滝川市立病院、北海道大学病院、JA北海道厚生連 帯広厚生病院勤務を経て、令和3年、函館中央病院糖尿病・内分泌内科科長に就任。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。
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