婦人科がん検診を受けましょう!
女性特有のがんというのは女性骨盤内臓器(子宮、卵巣、卵管、腟)にできるがんであり、大多数が子宮のがん(子宮体がん、子宮頸がん)と付属器のがん(卵巣がん、卵管がん、腹膜がん)です。人口規模を考えると函館市では子宮体がんは年間60例以上、子宮頸がんも40例以上の患者さんが発症していると想定されます。一般にがん化するまでは十年から数十年かかると言われていますが、一旦がん化してしまえば1年程度かけて徐々に生存率の低い進行がんとなっていきます。何か症状があっても婦人科へはなかなか受診しづらい、どうしようかと悩んでいるうちにがんが進行してしまうため、進行がんになるのを防ぐには、無症状のうちから婦人科がん検診(子宮がん検診)を受ける習慣をつけておくのが大切です。実際、当科を受診した進行がん患者さんのほとんどが一度もあるいは数十年の間がん検診を受けていない方です。
検診の習慣づけには、自分の誕生日とか、結婚記念日あるいは子供の誕生日など、毎年必ずやってくる記念日あたりに婦人科受診を予約するのがおすすめです。子宮がん検診は外来で比較的容易に検査が可能です。早期の子宮がんであれば、通常手術治療により高い5年生存率(95%程度)を得ることが可能ですし、腹腔鏡手術など低侵襲手術の保険適応もあります。
一方、付属器のがんは早期では無症状なために発見が困難なことが知られています。腫瘍が急速に大きくなるか、腹水がたまることでの腹部膨満感で気づく方が多いですが、そのときはほとんどが進行がんの状態です。肥満気味という年齢での発症が多く、急に太ったなと思うような時は注意が必要です。卵巣がんには検診制度がありませんが、子宮がん検診時に一緒に行う超音波診断法にて卵巣の腫大や腹水の有無を確認できます。従って婦人科がんの早期発見には子宮がん検診を定期的に受けることが大切になると思います。
(ハコラク 2022年5月号掲載)
略歴
昭和62年、旭川医科大学医学部卒業後、旭川医科大学病院、国立札幌病院、北海道立紋別病院、米国国立衛生研究所などで勤務。平成21年より市立函館病院で勤務し、令和3年11月、副院長に就任した。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医。
市立函館病院
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