イエテボリ法で虫歯予防を
〝予防歯科先進国〟スウェーデンで始まった歯磨き方法を紹介します。1970年代、スウェーデンでは多くの人が虫歯で歯を失いました。スウェーデン政府は「虫歯の予防」を国家プロジェクトとして、イエテボリ大学を中心に大規模調査を行いました。調査の結果、虫歯予防にはセルフケア(自分で行う歯磨き)とプロフェッショナルケア(歯科衛生士によるクリーニング)の両方が重要であると公示しました。
虫歯の主な原因は、①お口の中にたくさんいる「細菌」。その中に酸を出し歯を溶かす虫歯菌がいます。その細菌が増えないようにセルフケアが欠かせません。②食べ物の中に含まれている「糖質」。糖質を栄養にして虫歯菌は増殖します。甘い物が好きな人は、甘い物を食べない人に比べ虫歯になりやすいゆえんはここにあります。③歯の表面の薄さや密度に個人差がある「歯質」。遺伝、年齢、生活環境など、さまざまな原因があり、高濃度フッ素が配合された歯磨剤をブラッシング時に取り入れることで、歯を強化することができると考えられています。
フッ素は、酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補い、再石灰化を促進します。歯の表面を覆うエナメル質を修復し、酸に溶けにくい性質に変え、虫歯への抵抗力を高めて歯質を強化する効果もあります。また、虫歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。そのエナメル質強化に着目し、高濃度フッ素が配合された歯磨剤を取り入れる歯磨き方法が、イエテボリ大学で考案された「イエテボリ法」になります。歯を磨く時は①ブラシに2㎝の高濃度フッ素が配合された歯磨剤を付ける。②歯磨剤を歯全体に広げながらブラッシング。③歯磨剤を吐き出さずに10 mlの水を含む。④30秒間そのまま洗口、うがいをしない(30分~2時間、飲食禁止)、これを実践することでフッ素が口の中に残留し、効果がより発揮されます。皆様も試してみてください。
(ハコラク 2021年9月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)理事。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38
☎0138-47-3737
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■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
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