疲労骨折の原因と診断について
人間の手足の筋肉の両端は腱になり骨の表面の骨膜に付着します。筋肉の繊維はスライドし収縮して腱を介して骨を引き上げて関節を動かします。使い過ぎると腱の付着部で炎症を起こし痛みが発生してテニス肘や膝オスグッド病などの原因になります。使い過ぎが続くと骨膜炎や、さらには疲労骨折を起こします。
一方で、十分な筋力がなければ骨に加わる力を筋肉で支持できずに疲労骨折を起こす一因にもなります。一度に大きな外力が襲って起こす一般の骨折と異なり、明らかな外傷はなく骨の同一部位に軽微な力が繰り返し加わることで生じる骨折が疲労骨折です。急に運動の量や時間を増やしたり新たな激しい運動を始めたりすることが、きっかけになることが多く、運動中・後の特定の場所に生じる慢性的痛みがあり運動によって増悪します。
疲労骨折を起こす背景には使い過ぎ、個々の体力や技術に対して適切でない練習、靴や練習環境の問題とともに、特に成長期における筋力や柔軟性の不足、括抗筋のアンバランス、未熟な技術などの問題があります。発生する好発部位は足(中足骨、舟状骨など)、下腿(脛骨、腓骨)、肋骨、大腿骨、足関節内果、尺骨などです。
スポーツ選手で明らかな外傷歴がなく特定の場所に痛みが続く場合、疲労骨折を疑いますが、X線検査、MRI、骨シンチグラフィーなどの検査をして診断を確定させます。多くはスポーツを休む(安静)で治りますが、骨折の部位や治療が適切でなかった場合、時に手術が必要になることもあります。正確な診断、必要な安静期間の判断を含めた治療、予防に関しては、ぜひ我々整形外科医にご相談ください。
(ハコラク 2021年8月号掲載)
略歴
佐賀医科大学卒業後、久留米大学整形外科教室に入局し同院麻酔科、門司労災病院整形外科、聖マリア病院整形外科、福岡県立柳川病院整形外科、亀田病院整形外科などの勤務を経て、平成9年9月、こが整形外科クリニック開院。日本整形外科学会整形外科専門医。
こが整形外科クリニック
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■診療科目/整形外科、リハビリ科、リウマチ科
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