糖尿病の薬と新型コロナウイルス感染症
現在、日本中の糖尿病患者さんの数は1000万人と推計され、糖尿病は〝身近な病気〟となっています。今回は糖尿病の治療、そして糖尿病と新型コロナウイルス感染症についてお話します。
まず、糖尿病の治療についてですが、病院を受診するとたくさんの薬を飲まなければならない、インスリン注射が始まると生涯に渡り続けなければいけないなど、怖いイメージがあるかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。実際には日々のお食事内容・量を工夫していただき、食後に適度な運動を行う習慣をつけていただくといった食事・運動療法から始まり、医師が必要だと判断した場合はお薬を開始することになります。この〝薬〟ですが、現在の糖尿病治療薬はたくさんの種類があり、飲み薬は7種類、注射薬はインスリン製剤とそれ以外の製剤の2種類があります。さらに1日1回内服するものから1日3回内服するもの、毎日注射するものから週1回注射するものと使い方もさまざまであり、病状に合わせた治療を行うことはもちろんですが、患者さんの生活スタイルやご希望に合わせて、薬を選択することが可能になりました。
また、血糖値の高い状態が続くと感染症にかかった時に、症状が重篤化しやすくなります。昨今は特に新型コロナウイルス感染症への心配も尽きない日々かと思います。最近の研究では、糖尿病であっても血糖コントロールが良好であれば、新型コロナウイルス感染症にかかっても重症化するリスクを抑えられると言われています。逆に血糖コントロールが不十分であると、感染症の症状が重症化する可能性があります。ですので、血糖値に不安のある方は一度医療機関を受診されてみてはいかがでしょうか。平均寿命が男女ともに80歳を超えている日本ですが、新型コロナウイルスに負けず健康寿命を延ばすべく、日々の血糖値にも一緒に気を付けていきましょう。
(ハコラク 2021年8月号掲載)
略歴
平成23年、埼玉医科大学卒業後、北海道大学病院、滝川市立病院、苫小牧市立病院、NTT東日本札幌病院勤務を経て、令和3年、函館中央病院糖尿病・内分泌内科医長に就任。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。
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