ICUと集中治療専門医
集中治療室(ICU:Intensive Care Unitの略)とは、内科、外科系を問わず、呼吸、循環、代謝、そのほか重篤な急性機能不全の患者さんに対して、強力かつ集中的に治療し、治療効果を期待する病棟のことです。つまり、重症肺炎やショックなど院内で一番重症な患者さんに対して、薬物治療に加え人工呼吸や人工心肺、血液浄化法など機械的補助も駆使し、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、栄養士が一丸となってチーム治療を行います。コロナ禍の今、人工呼吸やECMO(肺を補助する人工心肺)を要する重症患者を治療するICU病棟は「〇〇県では人工呼吸を行える重症患者病棟の95%もが使用されています」などと重症コロナ患者の占有率が毎日のように報道されているところです。
厚生労働省が認定するICUには、1床15㎡の広さと重症患者管理、必要な医療機器、常時専任医師1人と、患者2人に対し1人の看護師が勤務することが義務付けられています。重症患者の治療をより効果的に行うには、医師、看護師以外に、薬剤師、臨床工学技士や理学療法士、栄養士によるチーム医療が必要となります。そこで2018年には、より質の高い集中治療を行うICUとして、これまでの条件に加え、機械的治療も行える1床20㎡の広さと集中治療に5年以上の勤務経験のある医師2人、臨床工学技士が24時間サポートできる体制を条件に、特定集中治療室管理料1・2が設定されました。
従来、ICUは大きな病院でも1カ所しかなく、救急患者も術後患者も院内発症の重症患者も全て同じICUで治療を受けていました。しかし、今は救急専用ICU(EICU)、冠動脈疾患専用ICU(CCU)、術後と院内発症の重症患者専用ICUなど役割を分けて複数のICUを有する病院もあります。また、従来は専従医がいなかったICUにも集中治療専門医が常駐し、専門医を中心としたチーム医療が行われるようになってきています。
(ハコラク 2021年7月号掲載)
略歴
昭和56年、札幌医科大学医学部卒業後、日鋼記念病院、札幌医科大学附属病院、東京医科大学などを経て、令和3年4月、市立函館病院副院長に就任。日本救急医学会救急科専門医、日本麻酔科学会麻酔科専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
https://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科
消化器外科、心臓血管外科、精神神経科など全30科目
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※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
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