前歯治療の引き出し
近年まで前歯治療の主流は、歯に被せ物を装着するクラウン修復、欠けた部分にペースト状の白いプラスチックを詰めて固めるコンポジットレジン修復の2つでした。昨今、ポーセレン・ラミネートベニア療法という治療法が加わり、前歯治療のバリエーションが増えてきました。
ポーセレン・ラミネートベニア療法は、前歯の表面をわずか0.3~0.5mmだけ削り、歯の色をした薄いセラミックを貼り付け、虫歯や見た目の問題を改善する方法で、歯の神経に影響が少ないのが大きな特徴です。前歯の変色や隙間がある場合、また統一感のないコンポジットレジン修復のリフォームに有効な治療法です。以前まではこのような場合、歯の全周を削って施すクラウン修復が通常でしたが、この治療法のデメリットとして、無傷の歯もたくさん削る必要がありました。
ラミネートベニア療法の歴史は意外と古く、1920年代にハリウッド映画スターが撮影用に用いたのが最初と言われています。当時、使用する材料が割れやすく映画撮影用に限られていました。そこから材料が進化し20年ほど前、歯の色をしたプラスチック(レジン)を貼り付けることが出来るようになりました。しかし、プラスチックは柔らかく、水を吸う性質があるため、変色や表面が擦り減る問題がありました。プラスチックに代わるものとして、セラミック(ポーセレン)を用いたラミネートベニア、ポーセレン・ラミネートベニア療法が発案されました。ポーセレン・ラミネートベニアは天然の歯に近い色や光沢をもち、変色や表面の擦り減りはありません。材料が丈夫になり、接着剤も良くなり、割れたり剥がれたりすることは稀となり、今では標準的な治療として採用出来るレベルに到達しました。「歯が変色している」「位置や形が不自然」といった悩みがありましたら、かかりつけ医に気軽に相談してみて下さい。
(ハコラク 2021年3月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)理事。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38
☎0138-47-3737
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■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
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