金属がない歯を
虫歯などにより歯に詰め物や被せ物が必要な場合があります。それらを作る材料には金属と、プラスチックやセラミックなどの白い材質とがあり、金属は硬く丈夫ですが見た目が損なわれるため、特に前歯には使えないなどの欠点があります。一方、白い材質は種類により軟らかいものからとても硬いものまであり、また、見た目もご自分の歯と遜色のないきれいなものもあり審美性にも優れています。
金属には見た目以外にも身体への悪影響が懸念されています。まず1つは金属によるアレルギーです。お口の中の金属は唾液に触れることによりイオン化し、目に見える程ではありませんが溶け出し重金属となって、体外に排泄されることなく体内に蓄積されます。これにより皮膚のかぶれ、かゆみ、肌荒れなどの皮膚症状のほか、イライラ、全身の倦怠感、不眠などの原因不明とされる症状、いわゆる不定愁訴などを起こすとも言われております。そしてもう一つはガルバニック電流です。例えばアルミ箔や金属製のスプーンなどをかむと、ピリッとすることがあるかと思います。これはお口の中に異なる金属が唾液を介して接触することで電位差が生じ、ガルバニック電流と呼ばれる微弱な電流が流れるためです。もしお口の中に複数の種類の金属が入っている場合には、常にガルバニック電流が流れている可能性があるということになり、これにより自律神経の乱れといった身体への悪影響を及ぼすことが分かっております。これらのことから金属を使わない治療の優位性が言われています。
欧米では以前から金属を使わない治療、いわゆるメタルフリー治療が一般的でしたが、最近は日本でもメタルフリーによる詰め物、被せ物などの治療が主流となってきています。詳しくはかかりつけ医や近隣の歯科医院にてご相談ください。
(ハコラク 2021年1月号掲載)
略歴
平成10年、日本歯科大学新潟歯学部を卒業し、平成14年、日本歯科大学大学院卒業(歯学博士号取得)。大学病院・東京での勤務医を経て平成18年に西巻デンタルオフィス五稜郭を開院。平成15年から日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第一講座非常勤講師を務めている。
西巻デンタルオフィス五稜郭
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