「股関節の痛み」を意識したことありますか?
テレビの宣伝でよく耳にするのが「肩・腰・膝の痛み」ですが、それらに比べると「股関節の痛み」が意識されることは少ないと思います。元気なお年寄りが増えたこんにちでは、膝の軟骨が擦り減ってしまって人工関節の手術を受ける患者さんの数も増えていますが、膝同様に体重を支える関節である股関節もまた、人工関節の手術で痛みを取ることが出来る関節です。しかし、膝と股関節の軟骨が擦り減る経過は同じではないのです。
どちらの関節にも一部の「けがが原因の軟骨の擦り減り」はありますが、これを除けば膝の場合はほとんどが「加齢による擦り減り」です。これに対して股関節は、そのきっかけが赤ちゃんの頃にあることが多いと言われています。「赤ちゃんの時に股関節にギプスをした」とか「生まれつき股関節が悪い」というエピソードを耳にされたことはありませんか?程度はさまざまですが、日本を含むアジアの国々にはこのような「子供の頃からの股関節の問題」がほかの地域に比べて多く、こういった子供達は小児期から青年、壮年、そして老年期のどの段階でも「股関節の痛み」を生じる可能性があります。
治療法は年齢によって異なりますので「もしかして」と思う方は、一度整形外科を受診されることをおすすめします。ただ、最終的に中高年の段階で人工股関節の手術を選択せざるを得ないことが少なくないと感じます。製品の質の向上により人工股関節は長持ちするようになっており、痛み次第で40~50代でも手術を考えても良いと思うのですが、日常診療では我慢している方が多い印象を受けます。手術によりそれまでの痛みがうそのように楽になったという方もいますので、「股関節が痛いのかも」と感じていらっしゃる方は一度整形外科にご相談ください。
(ハコラク 2020年10月号掲載)
略歴
平成16年、信州大学医学部卒業。長野県立厚生連佐久総合病院、北海道大学病院、市立釧路総合病院勤務を経て、平成26年に北海道大学大学院を卒業。同年より函館中央病院に勤務し、平成28年、人工関節センター長に就任。日本整形外科学会整形外科専門医。
函館中央病院
函館市本町33-2
☎0138-52-1231(代)
http://www.chubyou.com/
■診療科目/内科、消化器内科、腫瘍内科、循環器内科
小児科、外科、整形外科、形成外科
心臓血管外科、皮膚科、産婦人科、耳鼻咽喉科
歯科口腔外科など全26科目
■受付時間/8:30~11:30、13:30~16:00
※土曜は午前のみ。診療科や時間帯によっては要予約。
■休診日/日曜・祝日・年末年始