歯科医療従事者の新型コロナウイルス
感染リスクの実際と取り組み
新型コロナウイルスが感染拡大する中にあり、なかなか終息への道が見えない状況にあります。日々、テレビ・新聞・インターネットなどでさまざまな記事や情報が公開されており、皆さまそれぞれに解釈されていることと思います。今回は歯科医院での感染リスクの実際と感染対策について考察しました。
歯科医療従事者は感染リスクが高いのでしょうか?ニューヨークタイムズ(2020年3月15日付)に掲載された職業別感染リスク表では歯科医師・歯科衛生士は非常に感染リスクの高い職種に分類されています。しかし、株式会社ファンクション・ティの田尾耕太郎歯科医師が発表したレポートによれば、4月17日の時点で日本の総人口に対する新型コロナウイルス罹患率は0.0068%、これに対して全国の歯科医療従事者の罹患率は0.0023%です。歯科医療従事者は感染リスクが高い職種であるとされているにも関わらず、感染率は逆に低いということです。私たちは今回の有事より以前から、常に感染予防対策・衛生管理に目を向け実践しております。現在、最大限注意を払った感染予防対策の上に、さらに取り組みを追加し万全を期しているため、示された感染リスクと現状が違うのです。
また、重症化すると命に関わるおそれがある新型コロナウイルスですが口腔ケアでそのリスクを減らせる可能性があると、鶴見大学歯学部の花田信弘教授が解説しています。歯周病菌など口の中の細菌は常に少量ですが肺の中に入っていきます。普段は問題ないのですが、新型コロナウイルスに感染すると肺の免疫力が低下し、その状態で細菌が肺に入ると、ウイルス性肺炎と細菌性肺炎を引き起こします。ウイルス性肺炎と細菌性肺炎のダブルパンチが危険なのです。ウイルス感染予防、続いて起こる細菌性肺炎の発症リスクを低くしておくことが、新型コロナウイルスに打ち勝つポイントの一つです。
(ハコラク 2020年9月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)理事。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38
☎0138-47-3737
http://shundc.jp
■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
■診療時間/9:00~18:00
※水・土曜は14:00まで
■休診日/日曜・祝日