より安全な医療を提供するために
2019年7月3日、市立函館病院内に開設したメディカルシミュレーションセンター(以下シミュレーションセンター)は、当院を含めた地域医療機関などの研修医、看護師をはじめとする医療従事者、医学生や看護学生のための臨床技術習得、向上を目的とした施設です。
この施設には気管挿管や呼吸音聴診、採血・静脈注射などを練習するための人形、模型といった計28種類の教材があります。採血や静脈注射、点滴は患者さんにとっては痛みや不安を伴う処置です。研修医や新人看護師が実際の患者さんに対して処置する前に、模型で繰り返し練習して技術を習得しておくことは、患者さんの痛みや不安の軽減にも繋がります。
また、シミュレーションセンターではドクターヘリや救急車で救急搬送された患者さんを想定した模擬訓練を行っています。救急指導医や救急認定看護師、集中治療認定看護師を講師に、講師側の端末操作で脈拍や血圧が変わる人形を交通事故や高所からの転落事故などで救急搬送された患者さんに見立て、的確に処置できるよう研修医が数名でチームを組み、さまざまな症状に備えた訓練をしています。こうした模擬訓練を繰り返し行うことで、個人の技術力だけでなく、チーム医療の向上にも繋がると考えています。
今までもこれからも研修医や新人看護師は先輩の指導の下、医療を学び努力することで一人前に育っていきます。私も新人医師時代は先輩の厳しい厳しい指導を受けました。ただ当時は医療技術を習得するための人形や模型での訓練は行わず、先輩の教えを元に、先輩のまねをして患者さんに処置をしていました。
現在は実際に患者さんに対して処置をする前に、このシミュレーションセンターで人形や模型への模擬訓練を繰り返して医療技術を身に付けることにより、より安全な医療を提供することが出来ると考えています。
(ハコラク 2020年9月号掲載)
略歴
平成6年、弘前大学医学部卒業後、弘前大学医学部付属病院消化器外科、白生会胃腸病院、南陽市立総合病院、青森県立中央病院勤務などを経て、平成27年、市立函館病院に着任。日本外科学会外科専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1
☎0138-43-2000(代)
http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器外科
心臓血管外科、精神神経科など全30科目
■外来診療受付時間/8:30~11:30
午後は予約患者のみ
※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
■休診日/土・日曜・祝日
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