アトピー性皮膚炎について
「アトピー性皮膚炎」に対して、どのような印象をお持ちですか?アトピー性皮膚炎は、患者さんの数が多く、また慢性的な経過をたどる非常に有名な皮膚病であるため、玉石混淆な情報が氾濫しており、正しい情報を見つけるのは至難の業です。病気を治療するには、病気に対する正しい理解が必要です。そのため、今回アトピー性皮膚炎という病気の捉え方、治療方法に関して書かせていただきます。
遺伝するアレルギー症状を「通常とは異なる」という意味のギリシャ語で「アトピー」と呼び始めてからおよそ100年、以来さまざまな皮膚科医が研究を続けています。病気の成り立ちの詳しい部分には未解明な部分もありますが、①皮膚のバリア機能が弱い肌質②アレルギー反応を起こしやすい体質によってさまざまな症状が引き起こされていると理解しても良いと思います。
皮膚は体の一番外側にあり、外界から体を守る役割をしています。皮膚のバリア機能が弱いと、外からさまざまな物質が侵入してしまいます。アレルギー反応を起こしやすい体質であるアトピー性皮膚炎の患者さんは、侵入した異物に対して過剰に反応してしまい、反応した皮膚が炎症を起こします。皮膚が炎症を起こすと皮膚がかゆくなったり赤くなったりツユが出たりします。そのため、アトピー性皮膚炎の治療には、炎症を抑えるために抗炎症薬(ステロイド)が必要です。そのほかに、皮膚のバリア機能を強くするために保湿剤、皮膚を引っかいてバリア機能を壊さないようにかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)も使用します。異物が入ってこないよう皮膚を清潔に保つこと、しっかり掃除をすることも大切です。また、近年かゆみを起こす物質を抑える特殊な飲み薬や注射の薬も開発されました。アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、一度皮膚科を受診してみて下さい。
(ハコラク 2020年8月号掲載)
略歴
平成25年、北海道大学医学部卒業後、市立小樽病院、北海道大学病院、KKR札幌医療センター、市立釧路総合病院勤務を経て、令和2年、函館中央病院皮膚科医長に就任。日本皮膚科学会皮膚科専門医。
函館中央病院
函館市本町33-2
☎0138-52-1231(代)
http://www.chubyou.com/
■診療科目/内科、消化器内科、腫瘍内科、循環器内科
小児科、外科、整形外科、形成外科
心臓血管外科、皮膚科、産婦人科
耳鼻咽喉科、歯科口腔外科など全26科目
■受付時間/8:30~11:30、13:30~16:00
※土曜は午前のみ。診療科や時間帯によっては要予約。
■休診日/日曜・祝日・年末年始