心臓が大きいと言われたら
健診を受けた時心臓が大きいとか心肥大、心拡大と言われたことはありませんか。今回は、心臓が大きいということはどのような意味を持っているかお話致します。
心臓は一生の間、絶えず収縮と拡張を繰り返す、特殊な心筋細胞から出来ています。心筋細胞は母親のお腹の中にいる胎児期には活発に分裂・増殖を繰り返しますが、生まれる頃には分裂する機能を失い、数が増えることはありません。以後の心臓の成長は個々の心筋細胞の大きさが増すことで対応しています。
心肥大とは圧力に負けないため心筋細胞が大きく硬くなり、心臓の壁が厚くなったことを指します。遺伝や一流のスポーツ選手などでもまれに見られますが、大多数は高血圧などが原因です。また心筋梗塞や弁膜症などで心筋細胞が弱って心臓の内腔が大きくなった時は心拡大と表現します。
バネやゴムひもと同じで、無理に引っ張り続けると段々と伸びてしまうように心臓の筋肉も伸びてしまいます。バネも弱ってくると縮む力が落ちてきますが、少し引っぱってやれば、また元の力を出すことが出来ます。これと同じことが疲労した心臓に起きてくるのです。心臓も心筋を伸ばすことによって元の力を出そうとするため大きくなります。心臓が大きいと言われたら心臓に負担をかけている病気を見つけ出さなければなりません。放っておくと心臓はどんどん大きくなって収縮力が落ちてきます。心臓の大きさは重要な指標なのです。
心臓が大きいかどうかは胸部レントゲン撮影や心電図でも分かりますが、最も有効なのは心エコー検査です。また、その負担の原因が何であるのかが詳しく分かります。健診で異常を言われたら、症状がなくても早期診断・治療が重要であり早めに検査を受けることをおすすめ致します。
(ハコラク 2020年7月号掲載)
略歴
平成2年、北海道大学医学部卒業後、市立旭川病院循環器内科、札幌厚生病院循環器内科、市立札幌病院救急医療部、北海道大学病院循環器内科などを経て、平成12年に函館中央病院循環器内科に着任。平成22年、同科科長、令和2年、同院診療部長に就任。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本超音波医学会超音波専門医。
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