口腔アレルギー症候群と花粉症
「目がかゆい」と言えばアレルギー性結膜炎が疑われますが、特に季節性の場合は原因となるアレルギー物質(アレルゲン)が花粉である場合が多く、いわゆる花粉症に当たります。ここ道南においては3月から6月にかけてスギ花粉のほか、北海道特有のシラカバ属の花粉も多く飛散します。特にシラカバ属による花粉症の患者さんは、スギ花粉による花粉症の患者さんより目のかゆみなどの眼症状が強く出る傾向にあると言われています。
花粉症の患者さんの中には、生で果物を食べた時に口の中にかゆみやイガイガ感を覚える方がいます。食物アレルギーの特殊型で食べ物摂取時に口腔・咽頭粘膜に過敏症状を来すものを「口腔アレルギー症候群」といい、その原因として、花粉のアレルゲンと果物のアレルゲンの両方に、ある程度似ている物質が存在することが考えられています。似たような物質でアレルギー反応を起こしてしまうことを交差反応といい、花粉の種類によって交差反応を示す物質が決まっています。例を挙げると、カバノキ科はリンゴやモモ、サクランボなどのバラ科の果物のほか、キウイフルーツなどのマタタビ科やピーナッツなどのマメ科にも反応します。ブタクサなどのキク科はメロンやスイカ、キュウリなどのウリ科に、また、バショウ科のバナナに反応する方もいます。イネ科はメロンやスイカなどのウリ科のほか、ジャガイモやトマトなどのナス科やキウイフルーツなどのマタタビ科で交差反応を起こすと言われています。
口腔アレルギー症候群は症状出現に関連する食物を摂取した時に起こるため、季節に関係なく症状を発症します。口腔粘膜症状を発症した方の約6.9%が目のかゆみなどの眼症状を発症すると言われており、食物を摂取して目がかゆくなることはそれほど多くありませんが、花粉症の方は気が付かないうちに口腔アレルギー症候群になっているかもしれません。
(ハコラク 2020年5月号掲載)
略歴
平成15年、山形大学医学部卒業。同年同大医学部眼科学教室へ入局。山形県立中央病院、公立置賜総合病院、函館市内の眼科などの勤務を経て、令和元年10月、はこだて港町眼科を開院。日本眼科学会眼科専門医。
はこだて港町眼科
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