ピルについて
生理痛、生理の量が多い、生理不順、生理前の体調不良(月経前症候群)など生理にまつわる症状で悩んでいませんか?このような症状に、実はピルが有効なのです。ピルは、エストロゲン(女性ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を配合したホルモンのお薬です。1955年に避妊薬としてアメリカで開発され、その後副作用を減らすために中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルとホルモン量の少ない製剤が開発されてきました。日本では、避妊薬としてのピルの解禁をめぐって1970年代に中ピ連(中絶の制限に反対しピルの解禁を要求する女性解放連合)なる団体が結成され、当時、社会現象にもなりました。ピルによる避妊が可能になれば、妊娠するかどうかの自己決定権を女性が持てるようになり、女性の権利の拡大、女性の社会進出にもつながり、社会的にも非常に大きな影響があったのです。
近年、ピルは避妊以外にもいろいろな効果があることがわかってきました。冒頭に述べたような生理にまつわる症状や、スポーツや試験、旅行の時に生理に当たらないように生理をずらすこともできます。また、子宮内膜症の進行を抑える効果もあります。最近は、ピルは「生活改善薬」と呼ばれることもあり、使い方によってさまざまな形で女性の生活をサポートできます。
副作用は、最初のうちは吐き気がしたり、不正出血などが起こることがありますが、そのうちおさまってきます。一番注意が必要な副作用は血栓ですが、頻度は少なく1年間で1万人に3~9人くらい(アメリカのデータ)、妊娠時は1年間で1万人に5~20人くらい(アメリカのデータ)ですので、妊娠時の血栓の方が多いくらいです。ピルについて詳しいことをお知りになりたい方は、ぜひ産婦人科を受診して下さい。
(ハコラク 2019年11月号掲載)
略歴
昭和59年、札幌医科大学卒業。前製鉄記念室蘭病院高度生殖医療実施施設実施責任者、前室蘭産婦人科医会会長を経て、平成25年より現職。医学博士、日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医。
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