変わりゆく小児科診療
およそ30年前の小児科勤務医は、風邪、胃腸炎、肺炎などの感染症、喘息などの日常的な病気の診療以外にも、小さく生まれた赤ちゃん、心臓病のお子さん、てんかんなどの神経疾患のお子さん、白血病などの悪性疾患のお子さん、バセドー病や糖尿病の内分泌疾患など重症のお子さんも幅広く診療していました。
一方、現在の小児医療は、感染症、新生児、循環器、神経・筋、血液腫瘍、消化器、呼吸器、内分泌、代謝、膠原病、腎臓、アレルギー、小児救急、精神、発達、遺伝、予防医学などに細分化され、その分野の専門医が診療にあたります。少子化の影響で子供さんの数が減少していますが、医療が高度化、専門化したため小児科医の数が不足しています。大学病院や大都市のこども病院では、成人と同じように専門分野に分かれて診療を行っていますが、地方病院では常勤する専門医の確保が難しく常時高度な診療が実現できないのが現状です。従って(特に地方病院では)一般小児科医も時代に遅れないよう勉強に励み、多くのガイドラインやエビデンス(証拠、根拠)を順守する標準的な治療を行う事が重要となっています。
全道3番目の人口がある函館市は、各病院に専門医がいる場合もありますし、変わりゆく小児医療に対応するために大学などから定期的に専門医を要請して診療している場合もあり、小児科医不足の中にあっては、まだ恵まれている方だと言えます。また、専門医を招く事で我々現場の医師にとっても貴重な勉強の機会となっております。
今はインターネットを活用して情報を収集し病院を受診する事も可能な時代になりましたが、函館市小児科医会でもさまざまな情報を共有しておりますので、専門医の診療をご希望の方は、ぜひかかりつけの先生にご相談下さい。
(ハコラク 2019年9月号掲載)
略歴
平成4年、札幌医科大学卒業後、札幌医科大学病院小児科、苫小牧市立病院、青森県立中央病院、新札幌社会保険総合病院、北海道立中央乳児院(大学兼任助手)、室蘭市立総合病院勤務を経て、平成14年市立函館病院に着任。日本小児科学会小児科専門医。
市立函館病院
函館市港町1-10-1 ☎0138-43-2000(代) http://www.hospital.hakodate.hokkaido.jp/
■診療科目/消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器外科、心臓血管外科、精神神経科など全30科目
■外来診療受付時間/8:30~11:30、午後は予約患者のみ
※診療科によって異なるので詳しくは問い合わせを
■休診日/土・日曜・祝日
がん相談支援センター開設時間/8:30~17:00(土・日曜、祝日を除く、内線3289) なんでも相談コーナー開設時間/8:30~17:15(土・日曜・祝日を除く、内線4112)