抗ヒスタミン剤(抗ヒ剤) について
抗ヒスタミン剤は、ほとんどの方が内服または外用したことがある薬剤でしょう。簡単に言えば痒み止めです。そのほか鼻水を止めたり、乗り物酔いにも使われます。
体内でアレルギー反応が起きた時、ヒスタミンという化学伝達物質が細胞から放出されます。この物質が痒みを起こします。その作用を減じる、または抑制することによって、不快な痒みを抑えたり消失したりする薬です。有益な薬ですが、眠気、だるさ、口渇などの副作用があり、昔はその程度も強いものでした。また、緑内障や前立腺の病気を持っている方には使えませんでした。これらを第1世代の抗ヒ剤と言います。1980年頃より前述の副作用の無いものや程度が軽いものが出現してきました。第2世代薬と言います。が、眠気などの副作用が少ないと言っても、その程度は個人個人さまざまで、眠気などを訴える患者さんも多いのです。これに対して症状を見ながら、また、副作用の程度を鑑みながら抗ヒ剤の選択をするということも皮膚科医の大切な仕事です。
抗ヒ剤の使用に伴い、インペアードパフォーマンスの低下という言葉が使われます。それは、抗ヒ剤内服によって判断力や集中力の低下を来す事を言います。ドライバーやとりわけ航空機のパイロットには重要な事で、特にパイロットでは抗ヒ剤使用の厳しい制限があります。実際に第1世代の薬剤を内服したパイロットが航空機事故を起こした事例が2000年前後に10件以上あるとされています。薬を処方されこのような症状が出た時には、医師にご相談ください。特に車などの運転をよくする方は注意願います。
抗ヒ剤には色々な剤型があります。錠剤、シロップ、粉薬、外用剤などです。内服回数の違う薬剤もあり、おのおののライフスタイルに合わせ処方することも可能です。医師に相談の上、処方してもらいましょう。
(ハコラク 2019年9月号掲載)
略歴
昭和52年、北里大学医学部卒業、北里大学病院、自治医科大学附属病院、函館五稜郭病院勤務を経て、平成27年、アルファ皮膚科クリニックを開院。
アルファ皮膚科クリニック
函館市本通1-7-22 メディカルプレイス2F
☎0138-33-7300
■診療科目/皮膚科
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