薬疹の心得
薬疹とは、薬物を内服、点滴注射、外用などを行い皮膚に何らかの障害を起こした状態を言います。ここで絶対に大切な事は、患者さんのみならず医療関係者も勘違いしている事ですが、それは今まで使用している薬剤だから、または以前にも使った事のある薬剤だから大丈夫という大きな誤りです。薬疹の発症はその薬剤を使用している期間が長ければ、よりその危険度が増すということを忘れないでください。
皮膚症状は少し痒い赤いという軽微なものから、皮膚のみならず全身の粘膜(眼、口腔内、外陰部など)もおかされ、死に至る病型もあります。それではどんな薬剤が薬疹を起こすのでしょう。一般的には抗生物質、痛み止めが多いようです。最近では抗がん剤(化学療法)の使用も飛躍的に伸び、同時に皮膚への障害を訴える患者さんも激増しています。この障害には使用した医師と皮膚科医、そして患者さんとの意思疎通が大切で、症状によりその薬剤の中止や変更を決定する事が大切です。
また、最近では画像診断(CT、MRI)が盛んに施行される時代になり、この時に使用される造影剤で重篤な薬疹を起こす事がよくあります。この障害は薬剤を使用した直後に起こることは割合少なく、数日から一週間後に発現する事が多いのです。数日の検査入院で家に帰ったら発症という事例です。これら検査の前には担当の医師から説明があるのでしっかりとお聞きください。
薬は正しく使用しましょう。自己判断や他人の薬剤を使用するのは危険です。繰り返しますが、今まで使用していた薬が危ない!忘れずにお願い致します。
また、以前に薬剤で障害があった場合は必ず何か(例えばお薬手帳)に記入し、医療機関を受診する時は医師や看護師にお知らせください。立派な薬疹予防方法と言えます。
(ハコラク 2018年5月号掲載)
略歴
昭和52年、北里大学医学部卒業、北里大学病院、自治医科大学附属病院、函館五稜郭病院勤務を経て、平成27年、アルファ皮膚科クリニックを開院。
アルファ皮膚科クリニック
函館市本通1-7-22 メディカルプレイス2F
☎0138-33-7300
■診療科目/皮膚科
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