目元の老化対策
目の周りの皮膚は、頬の3分の1程度の薄さで皮脂腺も少ないため乾燥しやすく、表情の動きが多いためシワができやすいという特徴があります。皮膚が薄い目元は無意識の刺激で「くすみ」を招くこともあります。アレルギーで目をこする、アイメイクをする→落とすの繰り返しでも目を触っていることになり、色素沈着の原因になり老けて見えます。
「たるみ」の原因も複雑です。目の周りをドーナツ状に覆っている眼輪筋は、50代以上では20代の3分の2の薄さになります。眼輪筋の筋力低下により、眼球を囲みクッションの役割をしている脂肪が下まぶたにせり出してきます。さらに土台となる目の周りの骨も老化によって痩せ、眼窩という目のくぼみも広がってきて老けた印象になります。また、まぶたを開ける時に使うミューラー筋の機能も加齢により低下し、これも「たるみ」に影響しています。
加齢のほか、長年のハードコンタクトレンズの装用や、まぶたを掻きすぎるアレルギー症状などで筋肉の機能が低下し、眼瞼下垂が年齢よりも早くに進む場合もあります。加齢には抵抗できませんが、なるべく目の周りは触らない、こすらない、ゴシゴシ洗わない、まぶたの上から眼球周囲の指圧やマッサージは絶対にせずに、目の周りの薄い皮膚と筋肉を大切に守る意識を持ちましょう。
目の周りの乾燥感があるからと、安易に家庭で常備しているような顔や身体に使うクリームや軟こうなどを塗らないようにしましょう。目の周りは、薄くとても敏感な皮膚なので、かえって皮膚炎を起こしかゆみや赤みが出ることが多いです。顔の中でも「目の周りだけは別な皮膚」と思って気を付けてください。
目の周りに使える眼軟膏や医療機関専売のアイクリームなどで「目元の老化対策」をしましょう。自己流の過度なお手入れやマッサージなどは、老化ではなく「劣化」を招き、たるんで、シワも深くなり老けて見えるばかりではなく、元には戻らないので注意しましょう。
(ハコラク 2024年12月号掲載)
略歴
昭和62年、順天堂大学医学部卒業後、日本大学眼科学教室へ入局し日本大学板橋病院勤務。平成5年、日本大学大学院を卒業し国立札幌病院勤務を経て平成9年、藤岡眼科病院、平成19年、副院長に就任。平成28年より美容皮膚科も担当。医学博士。