今年の感染症の振り返り
新型コロナが5類感染症に移行して約1年半。函館市内の観光名所には活気が戻ってきました。大型客船の入港や円安の影響もあってか訪日観光客も見かけます。普段の生活でマスク着用する方も少なくなり、新型コロナ流行前の「いつもの日常」が戻ってきた、そんな感じがします。2024年も年末に差し掛かりました。今年の函館の感染症流行を振り返ると大人は新型コロナの流行が主体でした。小児は溶連菌性咽頭炎、咽頭結膜熱、新型コロナなど多数みられましたが、特に手足口病の流行が印象に残っています。
手足口病は3~5日間の潜伏期間を経て口の粘膜・手のひら・足の甲または裏などに2~3㎜の水疱性の発疹が現れます。発熱は約3分の1にみられ、一般的には軽症で経過し、発疹も3~7日程で痂皮(かさぶた)を残さずに消失します。感染予防には手洗い、咳エチケットが有効です。発疹が消えた後も3~4週間は便にウイルスが排泄されるため、特に手洗いは重要です。函館では8~9月頃に一度流行がみられましたが、函館保健所の報告では10月時点でも警報継続となっていました。2回かかってしまったという方もいらっしゃるので、1回かかったとしても注意が必要です。
また、各医療機関でインフルエンザワクチンの接種も開始しています。今年の特徴として鼻にスプレーするタイプのワクチンが国内でも正式に接種できるようになりました。適応は2歳以上19歳未満となっています。函館では接種可能な医療機関が少なく、ワクチンの種類や費用なども従来のワクチンと異なる部分があります。接種を考えている方は一度かかりつけ医療機関にご相談ください。
これからインフルエンザ流行時期に入っていきます。23年度の冬は2種類のインフルエンザに加え新型コロナも流行しました。中にはその3つ全てにかかってしまい苦労された方もいらっしゃると思います。今年度の冬がどのようになるかまだまだ予想がつかない状態ですが、手洗い・咳エチケット・必要であればマスク着用など十分な感染対策を行っていきましょう。
(ハコラク 2024年12月号掲載)
略歴
平成28年、琉球大学医学部卒業後、徳洲会系列病院の救急総合診療科(院内標榜)で総合診療専攻医研修過程を経て、令和5年4月、たからまち総合診療クリニックを開業。