新型コロナウイルス感染症
罹患後症状について
新型コロナウイルス(COVID-19)の罹患後症状、いわゆる後遺症は、COVID-19に罹患した後に感染性は消失したにも関わらず、ほかに原因が明らかでなく、罹患後すぐの時期から持続する症状、回復後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状全般を指しています。WHOでは「post COVID-19 condition(long COVID)」を「新型コロナウイルス(SRAS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、ほかの疾患による症状として説明がつかないもの。通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる症状」としています。
代表的な罹患後症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、咽頭痛、発熱、息切れ、動悸、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、下痢、腹痛、睡眠障害、手足の痺れ、筋力低下などがあります。 WHOは、これまでの研究によるとCOVID-19感染者の約10~20%に罹患後症状が発生するとしています。罹患後症状は子供にも起きることが報告されていますが、小児(5~17歳)よりも成人が罹患後症状を有する割合の方が、2~4倍高いことが明らかになっています。また、罹患後症状の多くは時間経過とともに改善することが多いと報告されています。一方、症状が残存する方も一定数いると言われています。
罹患後症状については、確立された治療方法はないため、国内外で研究が進められています。現時点では対症療法(症状を和らげる治療、咳に対して咳止め薬処方など)が基本になります。ほかの病気による症状ではないか、確認する必要もありますので、症状に応じた医療機関でみてもらう必要があります。日常生活に支障が生じ始めるほどの症状があり、およそ1~2カ月以上長引く場合は、激しい運動や無理な活動は避け、まずは、かかりつけ医やお近くの医療機関にご相談ください。
(ハコラク 2024年11月号掲載)
略歴
平成14年、岩手医科大学医学部卒業、同年4月、北海道大学医学部第三内科入局。市立札幌病院消化器科、NTT東日本札幌病院消化器科、函館中央病院内科勤務などを経て、平成18年11月より佐藤内科小児科医院勤務。平成28年7月より同院副院長。令和4年9月佐藤内科小児科医院から、みどりの森さとう内科・こどもクリニックへ名称を変更し継承開業、院長に就任。