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PRODUCT HISTORY/五勝手屋本舗 『丸缶羊羹』

丸缶羊羹

株式会社 五勝手屋本舗 代表取締役社長 小笠原敏文さん

製造風景

店内

    郷土に根差した和菓子作りでまだ見ぬ可能性を追求する

    金時豆を炊いたようかんが全国で知られる北海道銘菓に
    北海道の中で最も早く開港した港町の一つである江差町で、6代続く和菓子店「五勝手屋本舗」。その歴史は〝江差の五月は江戸にもない〟とうたわれ町が繁栄を極めた江戸時代までさかのぼり、北前船で運ばれてきた砂糖や寒天を使い、「小笠原菓子商」として菓子を作ったのが始まりとされる。現在の「五勝手屋」という屋号は、五勝手地区(現在の江差町の一部)で栽培した豆で菓子を作ったからとも、3代目の小笠原藤作さんが五勝手村(同)に住んでいたからとも言われ、文献などから明らかになっている1870年を、創業年に定めている。看板商品の「五勝手屋羊羹」は、1936年、函館に行幸した天皇に土産品として献上され、後に手を汚さずに食べられる工夫として円柱の筒に詰めた「丸缶羊羹」を発売。金時豆で炊く自家製あんを使うのが味の秘訣で、粘り気が強く主張し過ぎない優しい風味は、砂糖となじみやすく合わせる素材の味も引き立て、小豆あんが苦手な人からも愛される独自の味わい。北海道銘菓として広く知られ、江差町や函館市を中心に、全国のデパートやアンテナショップでも販売している。

    糸切り式の容器が新たな顔に 地域と共に復刻版も発売
    「丸缶羊羹」が誕生したのは、1940年頃。東京の容器メーカーが整髪料のポマード入れを原型に、底板を押し上げてようかんを取り出す円柱型の容器を考案し、新しいものに関心が高かった小笠原敏文社長の祖父がこの容器を導入。55年頃から食べる分だけカットできる糸を付けた現在の形となった。伝統的な四角いようかんの人気に押されて糸切り式のようかんはなかなか売れず、同様の商品を発売した他社の多くが製造を中止したが、地道に販売を続けた五勝手屋の「丸缶羊羹」は、年月を経て現存する最古参の糸切り式ようかんとして不動の人気を獲得した。今年6月には現行の丸缶ようかんを「いま」と銘打ち、50年前に原料としていた紅金時豆を昔の製法で加工した復刻版「かつて」と、新種の金時豆・秋晴れを使った「これから」を数量限定で発売。特に豆の栽培から5年掛かりで復活させた「かつて」は、檜山農業改良普及センターや江差町が主体となり商工、農、林、水産業が連携して商品開発などを試みる「一×二×三業懇話会」の協力で実現したもので、製法や素材の見直しが、現代の味を磨くヒントにつながったという。

    統の技に新しさを取り入れ和菓子の面白さを伝える 
    ようかん作りに使用する豆は、寒暖差の厳しい十勝地方で、時間をかけて栽培される大正金時。豆の渋切りや皮むき、脱水の加減から砂糖と寒天を入れて練り上げる工程まで、製造は一部を機械化しつつ、常に一定の味に仕上げるため、原料の状態を見極める職人の目が欠かせない。6代目として味を受け継ぐ小笠原社長は、「手間を惜しまないことが大事なので、作り手を育てることを1番に考えています。和菓子はもっと面白くなる。さまざまな試みを通して和菓子が変化していることを知ってほしい」と、ドライイチジクの中にようかんを詰めた「回/Re‐Fruit」を定番化し、通常ではタブーとされる製法を取り入れたカラメルようかんを催事限定で販売。固定観念にとらわれない商品開発にも力を入れる。「和菓子とは地域の風土から生まれる生活の中にある郷土菓子。華やかな味わいはなくとも食べ慣れた安心感がある。従来の手法を基本に、新しいものも取り入れ、現代の生活の中にも生きる魅力ある商品を提供していければ」。江差町で築いた伝統を礎に菓子作りの未来を切り開いている。

    株式会社 五勝手屋本舗
    江差町本町38 
    ☎0139‐52‐0022
    8:00~18:00 
    無休(1月1日は休み)
    P有り 
    キャッシュレス決済利用可

    ハコラク2023年8月号掲載










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