北海道の恵みを存分に生かし
また食べたくなる素朴な味を
道南の新鮮な生乳を全国でも愛される商品に
秀峰・駒ケ岳の山麓に本社工場を構える「駒ヶ岳牛乳」は、道南で生産される生乳の処理、加工、宅配を一手に行う乳業会社。森町で酪農家の次男として生まれた柴田勝輝社長が、家業を支えるため、1995年に創業したのが始まりで、健康な牛から搾られた新鮮な生乳の栄養や風味を損なわないよう低温殺菌し、脂肪分を均質化(ホモジナイズ)せず自然のままの味を届けるノンホモジナイズ牛乳を製造。「牛」を意味するアイヌ語・ピカタを冠した〝ピカタの森 駒ケ岳牛乳〟のブランド名で親しまれる。97年には同町赤井川で自社の牛乳と地場食材をふんだんに使ったジェラートを販売する直営店「ピカタの森アイス工房」をオープン。乳製品部門設置に伴い99年に工場を拡張すると、濃厚な生乳をさらりとした飲み心地に仕上げた「のむヨーグルト」を皮切りに、「牧場ぷりん」などの洋菓子も商品に加えてきた。現在は森町をはじめ、七飯町、北斗市、函館近郊に牛乳を週1本から宅配するほか、道南では本社工場や直営店、函館市桔梗の「ミルキーハウス」で商品を販売。函館市ふるさと納税の返礼品としても製造し、北海道物産展などで出店する全国各地の催事場ではリピーターが付くほどの高い人気を誇る。
苦労の末たどり着いた袋詰めのヨーグルト
弾力あるもっちりとした食感、酸味が少なくコク深い味わい、ミルク感が際立つほんのり控えめな甘み…。2019年に、味や品質管理に優れた道産加工品を選定する「北のハイグレード食品」に認定された「プレミアムヨーグルト」は、発売から25年愛され続ける「のむヨーグルト」をベースに誕生したハードタイプのヨーグルト。貯蔵タンクで冷却した新鮮な生乳を、脂肪が分離しないよう均質化し、食の安全のため90℃で30分以上殺菌、同社独自の混合乳酸菌を加えてかくはんしたら、味と食感が引き立つよう考案された袋状のパッケージに液状のまま手作業で充填していく。その後、発酵庫に収め、酸味を測るpH値が理想の値になるまで発酵が進んだところで冷蔵庫に入れて冷やせばヨーグルトの完成。香料や増粘剤、安定剤といった添加物は使わず、北海道産のハチミツを使用することで、クセのない優しい甘みを引き出し、〝素朴でどこか懐かしい、また食べたくなる味〟を追及してきた。この味にたどり着くまでには、数々の試行錯誤があったといい、温度管理から混合のタイミングまで少しでも間違えると商品にならず、手作業が基本の製造工程は、常に緊張感が伴うという。「日々安心、安全な商品を作るため、製法をしっかりと受け継ぎ、催事では完売する日が多いので製造量も確保していきたい。地元の方にもぜひ一度食べてもらえたら」と専務の佐々木勝彦さん。昨年から牛乳のパッケージを昔ながらの瓶製から軽くスタイリッシュなプラスチック製ボトルに切り替えるなど、常に変化する時流やニーズに対応しながら、道南の恵みで築いた自慢の味を大切に守っている。
株式会社 駒ヶ岳牛乳
森町白川9‐6
☎01374‐2‐0808
問い合わせ/8:30~17:30
日曜定休
ハコラク2024年8月号掲載