兄弟で力を合わせて懐かしい味を守り続ける
函館市本町の市電五稜郭公園前停留場前に立つ「餅の北屋」は、昭和中頃に創業した和菓子店。当初は手焼き煎餅がメインだったが、1960年頃から少しずつ餅屋へ移行していったという。現在は3代目・松下文彦さん、正行さん兄弟が10代の頃から父・彦四郎さんに学び磨いた腕で伝統の味をつないでいる。毎朝ついた餅で手作りのあんを包む「大福」、モチモチの「草餅」「べこ餅」、やわらかな「串だんご」、甘じょっぱいつゆをたっぷり含んだ「いなり寿司」、「太巻き」といった定番商品のほか、「おはぎ」など盆、彼岸、正月、慶事に合わせたものが、店外に面して配置したガラス張りのショーケースの中にずらりと並ぶ。文彦さんは「特別なことはせず、毎日の仕事をきちんとしているだけ」と話し、毎朝5時半から兄弟で作業場に立ち、初代で祖父の文次郎さんが作り上げた製法や分量を変えることなく忠実に守っている。丁寧な仕事の積み重ねが、長く愛される理由にほかならない。
(ハコラク 2021年8月号掲載)
餅の北屋
函館市本町25‐12
☎0138‐52‐2212
8:30~18:00
日曜定休