基本に忠実に、丁寧な仕事を受け継ぎ素材のおいしさを最大限に引き出す
銅板に亀甲模様を描く重厚な看板を掲げる「丸井榮餅」は、1900年創業。専門学校で菓子作りを学んだ4代目の佐藤秀昭店主が、より良い味を求めて研究を重ねる中、改めて見えてきたのが伝統の重み。餅米を研いだ後には水はけの良い竹ザルで水切りし、しっかりとつくことで生まれる餅特有のコシとやわらかさを守り、餡は雑味を取り除くため何度も煮汁を替えてアズキの味を引き立てる。基本に忠実に惜しみなく手間をかけることを〝当たり前〟として続けたことが、119年に渡る店の歴史を支えてきたと感じている。「〝何かが違う〟〝やっぱりこっちの方がおいしい〟と思ってもらうには、細かいことをきちんとやること」。道明寺粉は手回しの石臼で製粉、団子のしょう油ダレにはコンブから出汁を取り、ヨモギの葉は自ら採りに行く。函館の四季に寄り添い、素材の持つおいしさを最大限に引き出す味には、店に脈々と受け継がれる菓子作りへのひたむきさが詰まっていた。
(ハコラク 2019年6月号掲載)
丸井榮餅
函館市栄町5‐13 ☎0138‐22‐5482
8:00~17:00
水曜定休 (月に1回連休有り)