炭炊き飯が支える 受け継がれる味
威勢の良い掛け声が飛び交う「函館朝市」で、朝5時から海鮮丼や定食を味わえる「きくよ食堂」。市場で働く人々の食事処として昭和31年に創業。ショーケースに惣菜を並べる昔ながらの食堂だったが、客の要望からウニ・イクラ・ホタテを乗せた丼ぶりを提供したのをきっかけに多くのメディアに取り上げられ、函館を代表する海鮮丼店として知られるように。毎日漬け込むプチッと濃厚なイクラやダシを利かせた特製ワサビじょう油でとろけるような甘味が一層際立つ塩水ウニなど、先代から受け継ぐ独自の方法で新鮮な海産物を〝きくよ流〟に仕上げてきた。この味を支えるのが創業以来使い続ける炭炊きの蒸し釜戸。七輪と同じ珪藻土で作られたカプセル型の釜戸で、ふつふつとご飯が炊ける音を頼りに蒸し炊きする道産ふっくりんこは、驚くほどもっちりとしていて甘い。海鮮丼は数あれど、この味はほかには無いと思わせる唯一無二の丼ぶりで客の心をしっかりと掴んでいる。
(ハコラク 2018年8月号掲載)
味処 きくよ食堂 本店 朝市店
函館市若松町11‐15
☎0138‐22‐3732
5:00~14:00
(冬期は6:00~13:30)
無休
P有り(2,100円以上 利用で1時間無料)