変わらぬ味を肴に炉端を囲んで語り合う
飲食店や商店がずらりと立ち並び、にぎわいを見せていた昭和50年代の函館市田家町の一角に暖簾を掲げた居酒屋「ぎゅうちゃん」。鉄瓶を吊るした炉、炭火でいぶされた壁や天井などが長い年月を感じさせる。炉をコの字に囲んで椅子席を設置したこぢんまりとした店内は、人と人との距離が近く、来店客同士で自然と交流も深まるあたたかな雰囲気。着物に割烹着姿で炉端に腰を下ろしてもてなす丑ヶ谷玲子ママの温厚な人柄を慕い、開店と同時に足を運ぶ常連客も多い。メニューはこれまで一切変えずにきたと言い、材料を吟味し必ず一手間加えるのが丑ヶ谷ママのこだわり。地場産の魚や野菜の炙り焼きをメインに、開業当時に来店客から〝酒らしい酒〟とすすめられた日本酒「玉乃光」を、甕に入れ遠火でゆっくりと温め提供している。程よく塩を振った一番人気の「ほっけ」の炙り、炭火の中にそのまま入れる「焼きなす」…。ふっくらと焼き上げられていくのを、お通しや赤白2種類の味噌で味わい深くした「ホルモン鍋」に舌鼓を打ちながら待つ時間もまた楽しい。
(ハコラク 2023年8月号掲載)
ぎゅうちゃん
函館市田家町7‐12
☎0138‐43‐4980
17:30~22:00
日曜・祝日定休
禁煙
P有り