チームワークで腰部脊柱管狭窄症に挑む
私たちペインクリニシャンが扱う疾患の1つに、腰部脊柱管狭窄症があります。年齢とともに、腰の神経の通り道が狭くなって、神経が圧迫されてしまいます。そうすると、お尻や足に痛みが走ったり、足や腰がだるくなって、長い時間歩けなくなってしまいます。このような症状を持った方が病院に来た時に、私たちペインクリニシャンがすることは、診断をつけることと、重症度を判断することです。特に気を付けなければならないのは、急いで手術をした方が良い患者さんです。そういう人が受診した時には、脊椎専門の先生との連携がとても大事になってきます。
連携が上手に取れている病院では、整形外科と麻酔科(ペインクリニック)の風通しが非常に良いです。患者さんの情報を常にお互いにやりとりして、それを診断につなげていきます。また、腰のどこを手術するか決定するためには、造影CT(ミエログラフィー)や神経根ブロックと言った検査が欠かせません。当院でも、手術前には必ずこの2つの検査を行っており、整形外科医、麻酔科医両方が検査を行い、ディスカッションをしています。腰椎椎弓形成術などの一部手術については、当院でも今年からできる体制が整ったので、保存療法から手術療法まで、幅広い治療を1つの病院内で行うことができるようになりました。
腰部脊柱管狭窄症は決して珍しい病気ではありません。加齢とともに、私たちの多くがこの病気になります。ある研究では、60歳を越えると、なんと8割の方に腰部脊柱管狭窄があることがMRI検査で分かっています。だからこそ、ちゃんとした診断が大事になってきますし、お薬を飲むだけではなく、注射や運動療法、手術といった「治療の選択肢」が鍵になります。患者さん1人ひとりのライフスタイルに合った治療が提供できるよう、今後も整形外科の先生と連携して、チームワークでこの病気に立ち向かっていきたいと思います。
(ハコラク 2022年10月号掲載)
略歴
平成16年、信州大学医学部卒業後、札幌東徳洲会病院、伊達赤十字病院、熊本赤十字病院、市立札幌病院、北原国際病院、畷生会脳神経外科病院、堀口記念病院、函館脳神経外科病院勤務を経て、令和3年5月、函館おおむら整形外科病院に着任。
函館おおむら整形外科病院
函館市石川町125-1
☎0138-47-3300
http://www.ohmura.or.jp
■診療科目/整形外科、麻酔科(大村直久)、ペインクリニック内科
脳神経内科、糖尿病・内分泌内科、リハビリテーション科
■診療時間/月~金 8:30~11:30
14:00~17:00
土 8:30~11:30
■休診日/日曜・祝日