歯周組織再生療法
歯周病は、長年の生活習慣が元になり歯を支えている組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨)が歯周病菌に破壊される感染症です。歯周病は自覚症状がなく、気付かないうちに進行します。
治療をせず放置すると歯がグラグラになって、かめなくなり、最終的に歯を失う病気です。現在、歯周病治療の歯周基本治療は①患者様へのブラッシングトレーニング②歯科衛生士による歯石・バイオフィルム除去を軸とした治療が「標準治療」となっています。多くの歯周病はこの歯周基本治療で良くなることが多いのですが、重篤な歯周病に罹患している患者様もおられます。
歯周基本治療では、失われた歯周組織(歯を支える骨=歯槽骨)の再生は困難であり病気の進行を制御するに過ぎません。すなわち、歯を支えている骨の再生は「なされにくい」ということになります。しかし、昨今、歯根膜という歯と歯槽骨を繋ぐ組織に存在する「歯周組織幹細胞」が歯槽骨再生を可能にすることが証明され、2016年、先進医療として「歯周組織再生誘導剤」が保険適応薬剤として発売開始となりました。歯周組織再生誘導剤は条件を満たせば、「歯周組織再生療法」という手術で使用され、失われた歯周組織の再生が可能となります。
歯周組織再生誘導剤は医科分野において、「やけど」で失った皮膚再生に使用されている薬剤と同じ成分で精製されており、2001年から使用開始され20年近い実績を持ちます。歯周組織再生誘導剤が歯周組織を再生するメカニズムは、骨や筋肉などの細胞増殖を促進させる成長タンパク質により、組織再生に必要な血管を新たに作り出す血管新生作用が主だと言われております。繰り返しになりますが歯周組織再生療法は一定条件を満たせば「歯槽骨再生」が実証されました。
歯科の世界もどんどん先進医療が発達してきています。「歯周組織再生療法」につきましては、かかりつけ医と相談なさって下さい。
(ハコラク 2022年 3月号掲載)
略歴
平成16年、岩手医科大学を卒業。平成18年、同大学口腔顎顔面再建学講座入局。平成19年、同大学大学院に入学し、平成23年に卒業。道内外の歯科勤務を経て平成28年、シュンデンタルクリニック開院。岩手医科大学非常勤講師。歯学博士。
シュンデンタルクリニック
函館市石川町461-38
☎0138-47-3737
http://shundc.jp
■診療科目/歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科
■診療時間/9:00~18:00
※水・土曜は14:00まで
■休診日/日曜・祝日