こむら返りについて
誰しも急に足がつった経験はお持ちのはずです。ふくらはぎ、足の指などさまざまな場所の筋肉が硬くなって痛くて動かせなくなります。これらはすべて筋肉のけいれんで、ふくらはぎの頻度が多いため、こむら返りと言われます。運動して汗をかいた後や長時間の立ち仕事、高齢者で多いのは夜間睡眠中です。本来筋肉内では電解質といわれる成分のバランスが最適な状態に調整されていますが、いろいろな誘因でそれが崩れてしまうと過剰な収縮が発生するのです。
最も多いのが脱水です。大量に汗をかくことで水分のみならず塩分やカリウムといった電解質のバランスも崩れます。また、筋肉が疲労すると老廃物がたまります。これらを改善するために重要な役割を担うのが血流で、特に腓腹部の筋肉は第2の心臓と言われるように下肢の血流を補助しています。ところが高齢者では筋肉量と筋力が低下して血流が悪くなります。一方、体の筋肉は体温を維持するボイラーのような働きもあり、冷えを来すと血流が低下します。そのほかにも下肢の静脈瘤は血流うっ滞の大きな原因になります。以上のように筋肉のけいれんは電解質のアンバランスと血流障害がもたらす現象なのです。
こむら返りの予防法は水分補給、特に就寝前は有効です。また、適度な運動やストレッチ体操は筋肉の衰えを防ぎ、血流を促進します。栄養バランスを考えた食事も大切で、腎臓病などの持病がなければカリウムを補充するための生野菜、果物は推奨されます。治療薬として漢方の芍薬甘草湯が使われますが、甘草の副作用には注意が必要です。こむら返りが頻回で生活に支障がある場合や睡眠障害を来す場合は早めに医療機関を受診しましょう。内科一般または整形外科、循環器内科などです。
こむら返りは50歳を越えるとほとんどみんな経験します。まずは生活改善に取り組んでみて下さい。
(ハコラク 2020年4月号掲載)
略歴
昭和62年、京都大学医学部卒業。自治医科大学心臓血管外科にて医療情報部長、中央手術部教授、病院長補佐を歴任後、平成26年4月、こにし内科・心臓血管クリニック開院。
こにし内科・心臓血管クリニック
函館市末広町3-15
☎0138-83-2080
http://www.konishi-clinic.net/
■診療科目/内科、心臓血管外科、循環器内科
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