低用量ピルとLEP製剤 ~種類と投与法~
卵巣から分泌される女性ホルモン(E、エストロゲン)は子宮内膜を厚くし、黄体ホルモン(P、プロゲステロン)は排卵後に上昇して、子宮内膜を着床や妊娠の維持に適した状態に変化させます。2つのホルモンを含む薬剤がEP製剤で、子宮出血を起こしたり止めたり治療的に使われてきました。服用中は排卵しないため避妊薬としても使われ、目的を避妊に限定しホルモンの含有量を減らしたのが低用量ピルです。さらにホルモンの量を減らした超低用量ピルもあります。
服用中、子宮内膜が薄くなり月経に代わる出血は量、痛みとも軽いので、月経困難症(鎮痛剤を飲んでも日常生活に支障を来す病的な生理痛)の病名の方に健保適用下に処方される低用量EP製剤(LEP製剤)もあります。合成黄体ホルモンの種類により開発順に第1~第4世代に分類され、第2世代は避妊薬として普及していますが男性ホルモン(A、アンドロゲン)作用が少しあるため、にきび、体重増などが問題になる方もいます。第3世代はこのA作用が軽減され、にきびに良いピルとして知られています。第4世代は治療用の超低用量LEP製剤ですがA作用がゼロになり、また、利尿剤(尿を増やす)がベースの合成ホルモンのため、むくみにも良いようです。ただ第3世代以降は副作用で血管が詰まる血栓症のリスクがやや高まります。LEP製剤には第1、第2世代のものもあります。
基本4週間を1周期として最後に4~7日の休薬期間をおき、その間に出血があります(周期投与)。それでも生理痛がつらい場合は3パックを切れ目なく投与し11週間服用→1週間休薬(84日周期)という連続投与法、期間を決めず連続投与し内服中に出血があったら4日休薬というフレキシブル投与法(最長120日周期)もあります。このしくみを利用して旅行、試験などイベントに合わせて月経をコントロールすることもできるようになりました。
(ハコラク 2019年12月号掲載)
略歴
平成元年、北海道大学医学部卒業後、北大病院(不妊症グループ)および関連病院出向。平成10年、同大学院医学研究科修了、ヒト排卵機構の研究で博士(医学)の学位取得。平成11年、函館中央病院産婦人科医長、平成20年、同科長、平成25年、産婦人科ほんどおりクリニック開院。専門分野は不妊症、生殖内分泌。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
産婦人科 ほんどおりクリニック
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診療科目/産科・婦人科
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