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PRODUCT HISTORY/『ぶり燻』 ソネ食品

ぶり燻

ソネ食品株式会社 代表取締役水山康平さん

製造風景

南北海道の焼きぶり

    函館産天然ブリを新しい名産品に商品開発・販売拡大に挑む

    記録的なイカの不漁が新分野開拓の転機に

    函館近海で取れるスルメイカを主原料に、イカ塩辛、イカ三升漬け、燻製さきイカや、松前漬け、ホタテ燻などを手掛ける水産加工会社「ソネ食品」。生鮮珍味と乾燥珍味、小規模ながらそれぞれの製造ラインを持ち、地元産にこだわった製品作りを続けている。近年、渡島管内のイカの漁獲高は下降線をたどり記録的な不漁に。原料の入手が難しくなり、一部の商品の生産縮小や停止をせざるを得ない状況に陥った。追い打ちを掛けるように世界規模でもイカが不漁に。多くの同業者が価格高騰、原料不足に悩まされている中、水山康平社長がいち早く着目したのは、渡島管内で飛躍的に漁獲が増加している天然ブリ。漁獲量に回復の兆しが見えないイカに見切りをつけ、「新分野の商品は一番初めに商品化することに意味がある」と2017年、他社に先駆けてブリの加工食品開発に踏み切った。完成した「ぶり燻」は、東京にある北海道のアンテナショップ、道内の土産店でも好評を博し、今年4月にスタートした本州の大手コンビニエンスストアでのテスト販売も売れ行きは上々。本州の市場で高評価を得て、ブリ商品は同社の主力商品として急成長を遂げている。

    培った技術と経験を糧に独自の製造法を確立
    「ぶり燻」の原材料は南茅部地区産の天然ブリ。水山社長とともに開発の音頭を取った中野伸一工場長は「ブリは脂分が多い魚。最初トバ製品を作る要領で作ってみたものの、時間が経つにつれ燻製から脂が出てきてギトギトに。かといって抜き過ぎると今度はパサパサで旨味も抜ける」と話し、加工素材としての扱いにくさに苦心した当時を振り返る。水産加工に携わってきた長年の経験とノウハウを基に、生鮮・乾燥珍味の両方の技術を取り入れ、程良い脂分を残し素材の旨味を凝縮した味わいにたどり着くまで試作を重ねた。1次加工した冷凍フィレの状態で仕入れ、アレルギー物質となるヒスタミンが発生しないよう、解凍には細心の注意を払って鮮度を保つ。季節や天候によって変化する素材の状態を見極め、ほぼ手作業で加工。乾燥の熱源となる木炭は駒ケ岳産のナラで、燻煙材に使用するおがくずは桧山管内の山中に自生するブナ。炭の遠赤外効果で肉質がやわらかく、燻煙が旨味を引き立てる仕上がりに。保存料未使用で、未開封であれば常温で120日の長期保存が可能。パッケージにもこだわり、分かりやすいように大きく「ぶり」の文字をあしらっている。

    商品を順次考案 他社へも積極的に協力
    渡島管内のブリの漁獲高は年によって増減はあるもののほぼ右肩上がりで10年前と比較して10倍にも跳ね上がり、国内でも上位を誇る。2019年の漁業生産高(速報値)でも前年比31%増の6600t超と好漁だが、本州では高級魚として扱われているブリも道南ではあまりなじみがなく、水揚げされたほとんどは商社などを通じ安価でアジア方面へと輸出されている。ここに商機を見出した水山社長の先見力を裏付けるように、「ぶり燻」が完成した後に、地元でのブリの消費拡大を目的に渡島総合振興局や函館市内5漁協、道漁連、函館特産食品工業協同組合で構成する「はこだて・ブリ消費拡大推進協議会」が発足。現在は渡島総合振興局のバックアップを受け、味付きの切り身を真空パックにした「南北海道の焼きぶり」などの新商品を順次開発中だ。また、函館市内のマルウメ柴田商店企画の「ぶりふりかけ」を共同で手掛けるなど、後に続く企業への協力も惜しまない。「本州の市場で天然ブリは強い武器になる。状況の変化に合わせて資源を有効活用していきたい」。道南の水産業の将来を見据えた挑戦が続く。


    ソネ食品株式会社
    北斗市七重浜1‐2‐1
    ☎0138‐49‐4662(代)
    http://www.sonefoods.com/

    ハコラク2020年8月号掲載










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