自社ブランド「美王卵」を使った、土産にもつまみにもなる極上の逸品
自社ブランド卵に特化し愛される土産品を製造
「有限会社笹川」は燻製卵を製造するため、2003年に設立された食品加工会社。社長の笹川力さんは、これまで40年来、学校給食や大手コンビニエンスストアに向け、総菜などの食品卸事業を展開。そこで培った食品加工技術を生かして北斗市にあった企業から「燻製たまご」の製造を引き継ぎ、自社ブランドの「美王卵」を使った「函館物語」として新たに製造する会社を立ち上げた。2015年からは「美王卵」を使って、より函館らしい商品を生み出そうと、函館名物〝いかめし〟をヒントに、半熟ゆで卵を国産スルメイカの中に詰めてしょう油ダレで煮込んだ「いかたまらん」を開発。燻製たまごと共に、観光土産として空港や駅の売店で販売するほか、
贈答品として地元の人からも支持され、お中元やお歳暮の時期には月1万個を出荷するほどの人気を博した。2013年には「函館物語燻製たまご」が、今年6月には「いかたまらん」が、それぞれ函館圏優良土産品推奨会のみなみ北海道地区観光土産品公正取引協議会会長賞を受賞しており、近年ではラジオや全国放送のテレビ番組でも取り上げられ注目されている。
「美王卵」の甘味とコク素材を生かす加工を徹底
「燻製たまご」を一口食べると、中まで染みる程良い塩味や鼻に抜ける燻煙の香り、何より半熟でしっとりとした黄身の濃厚な味わいに驚かされる。製造責任者の津川真大さんが「まず味わって欲しい」と語るのは卵の違い。同社が生産を依頼し命名した「美王卵」は、赤色色素・アスタキサンチンを含有する特別な飼料を与えた鶏から産まれる赤玉卵。アスタキサンチンとは血中脂質の活性酸素を抑え、免疫力を高める効果が期待できるなど、ビタミンEの約1000倍とも言われる抗酸化作用で美容の観点からも注目される成分で、これにより鮮やかなオレンジ色になる「美王卵」の黄身には、甘味とコクが詰まった深い味わいが生まれるという。卵を絶妙な半熟に仕上げる茹で加減、塩水での冷却方法、一晩寝かせ塩味をなじませてから行う天然サクラチップでのスモーク、燻煙後に設ける20日間の熟成期間…製造工程の全ては「美王卵」の魅力を引き出すために考え抜かれており、理想の味にたどり着くまでに多くの時間を費やしてきた。
繊細な手作業が支える自慢の味を多くの人に
製造現場では、材料の検品から燻煙成分ごと閉じ込めるスピーディーな真空パック作業まで、ほぼ全ての工程が手作業で行われている。特に卵の内側までしっかりとスモークするためには、殻の表面に残る水気の拭き取りや温度・湿度管理の徹底が不可欠。また、「いかたまらん」は、半熟のゆで卵を壊さぬよう一つひとつ丁寧に殻を剥き、イカの中に詰め込んでから煮込むことで、イカの中に卵がぴったりと収まる〝いかめし〟のような見た目を実現している。丹精込めて手作りする一品は、東京のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ」をはじめ、各地で開催される北海道フェアにも卸し、道外でも人気を集めるが、新型コロナウイルスの影響で観光客への販売が難しくなり、新たな販路の開拓も続けている。「昨年から通信販売も行っているので家庭でのおつまみにも使っていただけたら。通販をきっかけによりダイレクトにお客様の声が聞けるようになり、味作りの参考にしています。おいしいと言ってもらえることが何よりうれしい」と津川さん。一人でも多くの人に自慢の味を届けようと日々商品と向き合っている。
有限会社 笹川
函館市昭和4‐42‐27
☎0138‐47‐7788
問い合わせ時間/9:00~17:00
土・日曜、祝日定休
ハコラク2020年9月号掲載