腹部超音波検査は頼れる味方
今回は消化器病の検査手技についてお話しします。私たち消化器内科を診る医者にとって、胸やけ、腹痛、食欲不振などの消化器症状を訴える患者さんが受診されたとき、聴診、触診など診察をして得た理学的所見と、さまざまな手技を駆使して得た検査所見から総合的に判断し、病気の診断を下します。それら検査の中でも腹部超音波検査(腹部エコー検査)は、手軽に施行でき、時には容易に診断を下すことができるので、消化器病症状の診断には大変便利で有用な検査手技です。頸部エコー、心臓エコー、関節エコーも重要な検査で、各診療科で広く施行されており、当院でも施行しています。
腹部エコー検査では胆石、胆嚢炎、肝腫瘍、慢性肝炎、肝硬変、膵炎、膵腫瘍(膵がんを含む)、そのほかの腹部腫瘍、腸管の異常など消化器内科が扱う病気の診断はもちろんのこと、腎結石、尿管結石、心不全、腹部大動脈瘤、さらには膀胱がん、子宮筋腫、子宮がん、卵巣腫瘍など、他科に相談する必要のある疾患を見つけることもよく経験します。
腹部エコーでいくつかの疾患を想定した上で、上部消化管検査(GIF-胃・十二指腸)、下部消化管検査(CF-大腸)で消化管の病気を診断し、また、腹部CT検査、MRI検査では、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、消化管の疾患を腹部エコー検査の診断と比較しながら正しい診断へ導くという、この診断手順が今の消化器疾患診断を下すための流れと言えます。
ただ、この検査にも難点はあります。肥満が高度で、内臓脂肪の多い方や消化管のガスの多い方は臓器の描出が難しいことがあります(空気は超音波を遮断し、脂肪組織は超音波の進行を減弱するためです)。このような症例には、腹部CT検査やMRI検査がとても有用であり、お互いの欠点を補いながら検査、診断を進めることが重要と言えます。腹部症状を自覚した際には、なるべく早く消化器内科へ受診されることをおすすめします。
(ハコラク 2022年12月号掲載)
略歴
昭和56年、札幌医科大学卒業。札幌医科大学附属病院第一内科、札幌慈啓会病院、函館五稜郭病院消化器内科、医療法人社団官尾医院勤務を経て、平成17年、平田博巳内科クリニック開業。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。平成3年、第4回日本内科学会奨励賞受賞。
平田博巳内科クリニック
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