経口補水液のすすめ
熱中症対策、胃腸炎時のおう吐や下痢による脱水に対し、水分補給を行う際、経口補水液のことを覚えておくと良いと思います。
まず脱水ですが、これは単に身体から水分が失われるだけでなく、塩分などの電解質が一緒に失われます。汗はしょっぱいですよね。塩分が含まれているからです。また、胃腸炎で下痢が激しいときも身体からナトリウム、カリウムといった電解質が喪失されます。このような状態の時に、電解質の入っていない水分の補給は、低ナトリウム血症といって血液が薄まって結果的にけいれんにつながることもあります。
では、スポーツ飲料はどうなのでしょうか。
日常生活における水・電解質補給であればスポーツ飲料で十分ですが、胃腸炎や高熱に伴う脱水の時は、スポーツ飲料よりも経口補水液の方が適しています。スポーツ飲料は経口補水液の2から5割程度の電解質しか入っていないため、治療に適した電解質濃度の経口補水液の方が効果的です。人間の身体に合わせた浸透圧になっているので、炎症により胃腸の機能が落ちていても、体内への水分・電解質の吸収が非常に迅速に行われます。 おう吐の激しい時は経口補水液ですら受け付けませんが、最後のおう吐から数時間たった時点で1回にたくさん飲まず、少量ずつ口に含ませ続けると、点滴と同程度の脱水治療効果が得られます。またブドウ糖濃度が低く抑えられていますので下痢の進行を防ぐことができます。
手持ちの経口補水液が無い場合、500㎖の水、砂糖20g、塩1.5gさらにレモン水少々で立派な経口補水液ができます。夏の水筒はこれでバッチリです。
本来は市販品の経口補水液を常備しておいてください。ゼリータイプの経口補水液も市販されていますので、お好みに合わせてドラッグストアなどで購入しておきましょう。
(ハコラク 2022年8月号掲載)
略歴
昭和62年、埼玉医科大学卒業後、東京都立清瀬小児病院、小川赤十字病院、厚生連熊谷綜合病院を経て、平成10年から14年まで函館五稜郭病院に勤務。平成15年、五稜郭ファミリークリニック小児科開院。
五稜郭ファミリークリニック小児科
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