肥満と病気
日本では体格指数BMI(=体重(kg)/身長(m)×身長(m))が25以上を肥満と定義しています。肥満になる原因として食べ過ぎ、運動不足があります。近い所でも自動車、電車で移動することが、運動不足を助長しています。中年以上になると運動をする習慣がない人では、若い頃と同じ量の食事をとっていると太りやすくなります。これは基礎代謝が若い頃に比べて低下するためです。基礎代謝とは生命維持のために消費されるカロリーのことです。
また、ストレスや寝不足も食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌が減り、逆に食欲を増すグレリンというホルモンの分泌が増えるので、食べ過ぎによる肥満になりやすくなります。肥満が引き起こす病気として、生活習慣病があります。生活習慣病とは高血圧症、脂質異常症、糖尿病、メタボリック症候群のことです。これらが進行すると狭心症、急性心筋梗塞や脳梗塞など死に至る病気になることがあります。痛風、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、慢性腎臓病、不妊、睡眠時無呼吸症候群なども肥満と関連がある病気です。肥満になると体重を膝が支えきれなくなり、変形性膝関節症にもなりやすくなります。肥満はがんの発症にも関連していることが分かってきています。閉経後に起こる乳がんは肥満との関連が確実とされています。大腸がんと肝がんは、肥満との関連がほぼ確実とされています。これは肥満により内臓脂肪が増え、アディポネクチン(アディポネクチンには細胞の増殖を抑える働きがある)というサイトカインが減少すると、がんになるリスクが高まるためと考えられています。また、肥満は認知症の原因にもなり得ます。脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型認知症も起こりやすくなります。
(ハコラク 2020年2月号掲載)
略歴
函館市出身。平成7年、弘前大学大学院医学研究科卒業。弘前大学附属病院第一内科を始め、勤務医を経て、平成19年、平野内科胃腸科を開業。平成28年10月、医療法人社団平野メディカルグループ 平野内科に組織変更。
平野内科
■診療科目/内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科
糖尿病内科、アレルギー科
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