腹痛を繰り返すとき
外来で診ていると、おなかが痛いという訴えは大変多いものです。たいていは、熱やおう吐、下痢を伴った「ウイルス性の胃腸炎」、俗にいう「おなかのかぜ」です。これは、数日の経過で良くなっていきますが、時に、下痢や便秘を伴って、何週間も続いたり、しばしば繰り返したりするようなことがあります。
ひととおり検査をして異常がなければ、「心因性の腹痛」、つまり「過敏性腸症候群」を考えます。心因性のものといっても仮病ではありません。本人は実際に痛みを感じています。ストレスが過剰に加わると、腸の運動をコントロールする神経(自律神経)のバランスが乱れ、腸が強く動いて痛みが起こります。痛みに対して、マッサージや保温で対処したり、腸の動きを抑える薬を使ったりします。
対症療法で治まらなければ、ストレスに対する対応を考えます。いじめや家庭内のトラブルなどの過度のストレスなら、生活環境の調整が必要になります。受験や進学、大きな行事への取り組みなどでは、その時期を乗り越えれば落ち着くこともあります。特に、思春期には、感受性が豊かになり、ちょっとしたストレスが大きな影響を与えることがあります。ストレスとの上手なつき合い方が大切になってきます。
ストレスの多い競争社会の中で、親も子も緊張を強いられています。つい子どものできていないところを見て、がんばれとせき立ててしまいがちです。子どものマイナス面ではなく、プラス面を見るようにしましょう。気が小さい子は慎重な子、打たれ弱い子は優しい子、のんびりな子はおおらかな子・・・それぞれがとてもすてきな宝を持っています。まず親が我が子の良さを認めることです。「今のあなたがすてきだよ。その力を伸ばしていけば、ちゃんと社会の役に立つ大人になれるよ」。そんな勇気づけが、子どもの自信を取り戻し、ストレスに負けない心を作っていけるものと思います。
(ハコラク 2023年3月号掲載)
略歴
昭和59年、北海道大学医学部卒業。同年4月から北海道勤医協札幌病院に8年間勤務後、静岡てんかん・神経医療センター小児科、道南勤医協稜北病院小児科医長を経て、平成21年9月、はるこどもクリニックを開院。平成23年12月病児保育所はるっこ開設。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。著書に「いいとこ探しののびのび子育て」あり。
はるこどもクリニック
病児保育所はるっこ(はるこどもクリニック併設)
七飯町本町6-7-42
☎0138-65-0500
https://haru-kodomo.com
■診療科目/小児科
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